海外に逃げれば税金は取られない?国税当局が外国政府と連携…「国境を越えた滞納税」の徴収が進むワケ【国際税務の専門家が解説】

海外に逃げれば税金は取られない?国税当局が外国政府と連携…「国境を越えた滞納税」の徴収が進むワケ【国際税務の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「海外に移れば、日本の税金は取られない」。そんな考え方は、もはや通用しません。国際化によって人や資産が国境を越えて移動する一方、税務当局も外国政府との連携を強化しています。多国間条約に基づく滞納税の徴収から、条約がなくても行われる税務当局同士の協力まで、国境を越えた「税の徴収」はどこまで進んでいるのでしょうか。国際課税研究所首席研究員の矢内一好氏が解説します。

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「海外に逃げれば税金は取られない」は、もはや通用しない

税の世界では、原則として国が自国の課税権を有しています。そのため、納税者が所得を得た国を離れて外国に居住した場合、所得の発生した国が、他国に居住する納税者から直接税を徴収することは容易ではありません。

 

しかし、国際化が進むにつれて、人だけでなく企業や資産も国境を越えて移動するようになりました。これに伴い、税務当局も外国政府との協力体制を構築してきました。

 

現在では、納税者が国外へ移動したからといって、滞納した税金から逃れられるとは限りません。各国の税務当局が情報交換や徴収の面で連携することで、国境を越えた税務執行が行われるようになっているからです。

国境を越えて「滞納税」を徴収できる多国間条約

国際的な税務協力の1つが、国際間で互いに相手国の税を徴収することを認める条約です。

 

二国間で締結する租税条約とは別に、多数の国が参加する多国間条約もあります。国際間の税務協力について定めた代表的なものが「税務行政執行共助条約」です。

 

現在、ペルシャ湾のホルムズ海峡の航行が問題となっていますが、海上交通については「国連海洋法条約」という多国間条約があります。これと同じように、税の世界でも、国境を越えた税務行政について各国が協力するための共通のルールが設けられています。

 

この共助条約では、条約締約国から要請があった場合、要請を受けた国が、自国に所在する滞納者の財産などから、要請国に代わって税を徴収することができます。

 

つまり、税金を滞納した人が国外へ移動したとしても、一定の条件の下では、その滞納税について居住先の国に徴収への協力を求めることができるのです。

 

国際的な人の移動が活発になるなか、こうした仕組みは、国境を越えた「税の逃げ得」を防ぐための重要な手段となっています。

 

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