通帳を見たら…まさかの残高に仰天
転機が訪れたのは、和枝さんの通院に付き添った日のこと。銀行で記帳を終えた母の通帳をさりげなく見た浩一さんは、思わず声を上げました。
それまで、貯金額を聞いてもうやむやにされ隠されていました。しかし、残高は約1,350万円……まさかの金額でした。
「えっ、母さん、まだお金あるじゃないか!」
しかし、和枝さんは困ったように笑いました。
「え、見たの? ……これっぽっち。もし施設に入ることになったらどうするの。お金が足りなくなったら、お前に迷惑がかかるでしょう」
父が亡くなったとき、和枝さんの手元には預貯金や保険金などを合わせて1,500万円ほどが残りました。相続手続き上、浩一さんも、そのことは知っていました。
それから8年。家電の買い替えや冠婚葬祭、孫へのお祝いなど、避けられない支出があり、物価も上昇しました。そのため浩一さんは「かなり減っているんだろう」と思っていたのです。
しかし、実際には、和枝さんの普段の生活費は年金収入を大きく下回っていました。年金から余ったお金はそのまま積み立てられ、家電の買い替えや冠婚葬祭、孫へのお祝いなどの特別な支出に充てられていたのです。そのため、8年という歳月が経過しても、預金残高は想像ほど減っていませんでした。

