「団地に引っ越して、本当によかった」…年金月22万円“夢の持ち家”を手放した73歳夫婦、終の棲家に〈家賃5万円の公営住宅〉を選んだ理由

「団地に引っ越して、本当によかった」…年金月22万円“夢の持ち家”を手放した73歳夫婦、終の棲家に〈家賃5万円の公営住宅〉を選んだ理由
(※写真はイメージです/PIXTA)

「持ち家があれば老後は安心」──そう考える人は多いでしょう。しかし実際には、住宅ローンや修繕費、固定資産税などの負担が、年金生活の重荷になることもあります。関東に暮らす73歳の夫婦は、老後の安心を求めて購入したマンションを手放すことを決断。そこには、住まいに対する思い込みと、現実とのギャップがありました。

約20年前に中古マンションを購入「終の棲家が手に入った」

関東に住む田中靖男さん(仮名・73歳)と妻の洋子さん(仮名・73歳)は、公営住宅で暮らしています。家賃は月5万円ほど。質素ですが、二人にとってはようやく手に入れた「安心できる暮らし」でした。

 

しかし、この穏やかな日常にたどり着くまでには、長い遠回りがあったといいます。

 

今から約20年前。夫婦は長年暮らしていた賃貸マンションの更新時期を迎えていました。当時「高齢になると賃貸を借りにくい」という話を耳にすることも多く、夫婦は漠然とした不安を抱えていました。

 

「今は元気だけど、年を取ったらどうなるんだろう」
「将来更新を断られたら、住む場所がなくなるかもしれない」
「家を持つなら、年齢的にも今決めないと……」

 

こんな話し合いの末、二人は中古マンションの購入を決断します。

 

当時、まだ子どもが一緒に暮らしていたこともあり、購入したのは築14年のファミリータイプのマンションで、価格は約3,000万円。頭金として貯蓄の大半(500万円)を投入し、残りは75歳完済の住宅ローンを利用しました。

 

管理費や修繕積立金も含め、住宅費は月14万円ほど。当時は世帯年収が750万円あり、退職金で繰上げ返済すれば問題ないと考えていたのです。

 

「終の棲家が手に入った。これで安心だと思いました」

順調に進まなかった返済計画

ところが、人生は思い通りには進みません。子どもの教育費や生活費、家電の買い替えなどで支出は想定以上に膨らみました。

 

さらに、勤務先の経営状況悪化により、靖男さんが受け取った退職金は約1,000万円と、20年前に予想していた額より500万円ほど少ない金額に。退職金でローンの大部分を繰り上げ返済するつもりでしたが、老後資金を手元に残す必要もあり、思うような返済はできませんでした。

 

靖男さんの継続雇用の条件も、当初の想定より厳しいものになりました。収入は大幅に減少し、住宅ローンの負担感は強まっていきました。

 

やがて年金生活に入り、夫婦の年金収入は月22万円ほどに。厚生労働省の「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、夫婦2人の標準的な年金額は月22万4,482円。田中さん夫婦の年金収入は特別少ない水準ではありませんが、家計にはまったく余裕がありませんでした。

 

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