「仕送りしようか」息子が心配になる母の生活
息子の浩一さん(仮名・56歳)は、ここ最近、実家を訪れるたびに母・和枝さん(仮名・81歳)にこう問いかけていました。
「ねえ、母さん。ちょっと節約しすぎだよ。生活が苦しいなら、少し仕送りしようか」
和枝さんは、地方都市の築40年を超える戸建てで一人暮らし。夫を亡くして8年。年金収入は月12万円ほどです。もともと贅沢をする人ではありませんでしたが、今の倹約ぶりは見ていて心配になるほどでした。
真夏でもエアコンは最低限しか使わない。スーパーでは値引きシールの貼られた商品ばかりを選ぶ。擦り切れた服や靴も、まだ使えると言って買い替えない。さらには、病院に行く頻度まで減ってきました。
「年金だけじゃ大変だろう。貯金はまだあるの? 遠慮しないで頼ってほしい」
浩一さんがそう尋ねると、和枝さんは決まってこう答えました。
「本当に大丈夫。お前には迷惑をかけたくないの」
柔らかい笑顔でしたが、その口調には、“それ以上聞かなくていい”という強い信念を感じるものでした。しかし、それがかえって「気を使っている」と思わせ、浩一さんの胸を痛ませました。

