「失業手当193万円もらえるはずが…」年収1,100万円・40歳SE、退職後にハローワークで告げられた“まさかの一言”【社労士が解説】

「失業手当193万円もらえるはずが…」年収1,100万円・40歳SE、退職後にハローワークで告げられた“まさかの一言”【社労士が解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

副業解禁から早8年、本業とは別に収入源を持つ会社員も珍しくなくなりました。リスク分散や生活防衛の観点からも、副業には多くのメリットがあります。しかし、本業を「退職」することになった場合まで想定している人は、多くないのではないでしょうか。特に、副業が軌道に乗り、法人化を検討している場合、注意が必要です。SEであるAさんの事例をとおして、副業と失業給付の関係、そして見落としがちな注意点についてみていきましょう。社会保険労務士・岡佳伸氏が解説します。

「受給期間の特例」は使えるが…

Aさんが落胆していると、担当者は言いました。

 

「ですが、Aさんの場合は『受給期間の特例』を申請できる可能性があります」

 

雇用保険の基本手当は、原則として離職日の翌日から1年間の受給期間内に受ける必要があります。所定給付日数が240日あっても、受給期間を過ぎれば受け取れません。

 

一方で、2022年7月1日から、離職後に事業を開始等した人について、事業を行っている期間等を最大3年間、受給期間に算入しない特例が設けられました。これにより、離職後に起業した人が、すぐに基本手当を受けずに事業に挑戦しうまくいかなかった場合に、あとから求職活動へ戻る道が残されることになりました。

 

ただし、ここで重要なのは、この特例は「事業を続けながら基本手当をもらえる制度」ではないという点です。

 

受給期間を延ばす、あるいは事業を行っている期間を受給期間に算入しないという効果はありますが、実際に基本手当を受けるためには、「失業状態」に戻る必要があります。

 

つまり、Aさんの場合でいえば、副業を廃業(または少なくとも休業)し、代表取締役として事業に専念していないことを示したうえで、改めて求職の申込みをし、いつでも就職できる状態であることを確認してもらう必要があります。

 

Aさんは、また言葉を失いました。

 

「つまり、会社を畳まないと受給できないということですか」

 

窓口では、個別事情による確認が必要としつつも、Aさんのように代表取締役として事業を継続し、実際に売上もある状態では、基本手当の受給は難しいと説明されました。

 

Aさんにとって、副業法人は生活を支える重要な収入源です。月20万~30万円の売上を捨ててまで最大約193万円の基本手当を受けるべきか……。

 

Aさんははじめて、自分が難しい選択を迫られていることに気づきました。

 

 

次ページAさんを襲う“三重苦”

※本稿の事例は、制度説明のために実際の相談内容の一部を再構成しております。

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