(※写真はイメージです/PIXTA)

子どもとのつながりを心の支えにする高齢者は少なくありません。帰省、電話、ちょっとした相談。親にとっては自然な関わりでも、子ども側には負担として積み重なることがあります。親子であっても、距離の取り方を誤れば関係がこじれ、老後に頼れると思っていた家族とのつながりを失ってしまうこともあります。

「親なんだから頼って当然」…息子との関係が変わり始めたワケ

修一さん(仮名・74歳)と妻の節子さん(仮名・72歳)は、夫婦で年金月17万5千円ほどを受け取りながら暮らしています。持ち家のため家賃はかかりませんが、固定資産税、光熱費、医療費、家の修繕費を考えると、余裕があるとはいえませんでした。

 

一人息子の大輔さん(仮名・45歳)は、結婚して別の地域で暮らしています。以前は盆や正月に帰省し、月に数回は電話もありました。節子さんは、息子からの連絡を何より楽しみにしていました。

 

「次はいつ帰ってくるの?」

「孫の写真、もっと送って」

「こっちはお金が厳しいのよ」

 

最初は、何気ない会話のつもりでした。しかし、電話のたびに愚痴や頼みごとが増えていきました。

 

給湯器が壊れたときは、大輔さんに費用の一部を出してもらいました。固定資産税の支払いが苦しい月にも、数万円を送ってもらったことがあります。大輔さんは最初、黙って対応していました。

 

「親が困っているなら仕方ない」

 

そう思っていたのです。

 

しかし、大輔さんにも住宅ローンがあり、子どもの教育費もかかります。仕事も忙しく、休日は自分の家族と過ごす時間も必要でした。

 

ある年の正月、帰省した大輔さんに、節子さんは言いました。

 

「今年はもう少し帰ってきてくれない? 近所の人は、息子さんがよく来てくれるって言っていたわよ」

 

大輔さんは疲れた表情で答えました。

 

「うちにも生活があるんだよ」

 

節子さんは、その言葉にむっとしました。

 

「親にそんな言い方をするの?」

 

それ以降、電話は少しずつ減っていきました。

 

総務省『家計調査(2025年)』によると、65歳以上の夫婦のみ無職世帯では、可処分所得約22.2万円に対し、消費支出は約26.4万円で、平均では毎月約4.2万円の不足となっています。修一さん夫婦の年金月17万5千円は、この平均的な可処分所得を下回っており、突発的な支出があると家計はすぐに苦しくなりました。

 

だからこそ、夫婦は息子を頼りにしていました。しかし、その頼り方が、大輔さんには重くなっていたのです。

 

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