「親孝行のつもりだったのに」…独居暮らしの82歳母を山間の小さな村から東京へ。3ヵ月後、56歳息子「実家を売らなきゃよかった」後悔したワケ

「親孝行のつもりだったのに」…独居暮らしの82歳母を山間の小さな村から東京へ。3ヵ月後、56歳息子「実家を売らなきゃよかった」後悔したワケ
(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢の親が一人で暮らしていると、「もし倒れたら」「具合が悪くなったら」と心配になるものです。実際、離れて暮らす親を自宅近くへ呼び寄せたり、同居を選択したりする家族は少なくありません。しかし、家族にとっての安心が、本人にとっての幸せとは限らないこともあります。見ていきましょう。

母が失ったのは「家」だけではなかった

内閣府「令和7年版高齢社会白書」によると、65歳以上人口は3,624万人となり、総人口に占める割合(高齢化率)は29.3%となりました。65歳以上の一人暮らしは男女ともに増加しており、1980年には65歳以上の男女それぞれの人口に占める割合は男性4.3%、女性11.2%でしたが、2020年には男性15.0%、女性22.1%となりました。

 

高齢化の進展に伴い、離れて暮らす親の見守りや介護をどうするかは、多くの家族が直面する課題となっています。ただ、高齢者にとって住み替えは、単なる引っ越しではありません。

 

若い世代は新しい環境にも比較的順応できます。しかし高齢になるほど、人とのつながりや慣れ親しんだ地域が生きがいになっているケースは少なくありません。

 

早紀さんが失ったのも、家そのものではなく、近所の顔見知り、知り尽くした土地、聞き慣れた方言、毎月欠かさず通っていた墓参り……長年積み重ねてきた日常でした。

 

家族はどうしても安全を優先しますが、本人が幸せを感じながら暮らせることとは、必ずしも一致しません。呼び寄せ介護では、このズレがしばしば問題になります。

 

最近の洋輔さんは、休日になると母を車に乗せて、積極的に出掛けています。人混みを避けて、海を見たり、公園を歩いたり。早紀さんも徐々に笑顔が増えてきたといいます。

 

「このままだと、認知症になってしまうんじゃないかと心配で。もう戻れない以上、ここでの暮らしを少しでも楽しんでほしいんです」

 

親を呼び寄せるという選択は、家族の愛情から始まります。しかし高齢者にとっては、住み慣れた土地を離れることが、想像以上に大きな喪失になることもあります。だからこそ家族には、「本人が幸せを感じられる場所はどこなのか」という視点が求められるのかもしれません。

 

 

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