定年後の日々がもたらす「虚無感」と「罪悪感」
定年退職から半年ほど経った頃。尾坂洋司さん(仮名・65歳)は、虚無感と罪悪感に苛まされていました。
朝起きて、コーヒーを飲み、朝食を食べながら新聞を読む。近所を散歩し、昼食を済ませたらテレビを見る。夕食を食べて眠る。そんな毎日の繰り返しです。
「今日も何もしなかったな……」
自身の分だけで年金が月17万円ほど。住宅ローンは完済済み。さらに、株や投資信託で作り上げた資産と銀行預金、退職金の残りで総資産は7,000万円を超えていました。
妻と2人、一生生活に困ることはありません。ところが、お金の不安がないことと老後の満足は別物でした。
現役時代は管理職として忙しく働いていた尾坂さん。毎日会議があり、部下から相談があり、取引先との交渉がありました。それだけに、社会から置いて行かれるような、また、何も生み出さないことへの罪悪感のような感情を抱いていたのです。
しかし、その平穏な日常がどれほど恵まれたものだったのかを、洋司さんは後になって思い知ることになります。それは、ある夜かかってきた、1本の電話がきっかけでした。

