「自分の老後資金で息子を支える日が来るとは」
「貯金を崩しながら何とかやってきたけど、厳しくて。情けない話でごめん。100万円だけ貸してもらえないかな」
弱弱しい息子の声に、洋司さんはすぐに100万円を振り込みました。ところが、それで終わりではありませんでした。
啓さんは話し合いでは難しいと、ようやく重い腰を上げて弁護士に相談。弁護士からは「住宅ローンを払っているのに、この婚姻費用の額は高すぎる」とアドバイスを受けました。
しかし、一度決まってしまった生活費の減額に妻側が簡単に応じるはずもありません。妻側も弁護士を立てて対抗し、泥沼の離婚協議と調停は長期化していきました。
「調停の費用がかさんでしまって」「今月の学費がどうしても足りなくて」と、啓さんから再び支援を求められるようになります。
気づけば援助額は300万円近くに。ただ、資産が7,000万円以上ある洋司さんにとって、お金そのものは問題ではありませんでした。
ですが、洋司さんは不安を抱えるようになりました。この状態はいつまで続くのだろう。息子は、本当に生活を立て直せるのだろうか。孫たちは大丈夫なのだろうか。考えても答えは出ません。
まさか、自分の老後資金で息子を支える日が来るとは思いませんでした。無事離婚が成立しても、養育費に自分の住居費。妻が家の売却に応じればいいですが、それも先が見えません。
ある日の夕食時、妻がぽつりと言いました。
「前は毎日退屈だって言ってたわよね。あれ、贅沢な悩みだったと思わない?」
洋司さんは苦笑しました。

