なぜ日本企業は、取引先との「長期的関係」を重視するのか…価格競争の視点を超えた、特有の行動理論【経済評論家が解説】

なぜ日本企業は、取引先との「長期的関係」を重視するのか…価格競争の視点を超えた、特有の行動理論【経済評論家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

日本企業の経営にもグローバルスタンダードが浸透しつつありますが、一部には日本ならではのスタイルとして根強く残っているものもあります。なかでも、銀行や取引先との付き合い方は独特です。どのような背景があるのでしょうか? 経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

下請け制度にある2つのメリット

日本企業は、部品メーカーとの取引関係も長期的です。いつも同じところから部品を仕入れていて、その部品メーカーは「下請け」と呼ばれています。毎回複数の部品メーカーから見積りをとって最も安いところから買うという選択肢もありますが、面倒ですし、相手の技術力も誠実さも未知数な企業より、取引実績のある企業から買う方が安心ですから。打ち合わせも「前回どおりで」ですみますし。

 

下請け制度には、他にもメリットがあります。毎回入札だと、部品メーカーとしては「今回は注文がとれたけれど、次はどうなるかわからない」ので、設備機械の導入に慎重になり、手作業で作ることになりかねません。それは非効率です。下請けとして指名してもらえれば、次からも受注が見込めるので、思い切って設備機械を導入することができ、効率的に作業ができるでしょう。結果として製品価格を下げることができ、発注者にとってもメリットが大きいでしょう。

 

余談ですが、筆者が新人研修の講師を頼まれた場合、資料を真剣に作るか否か、迷います。来年は別の講師に依頼するのであれば、一回しか使わない資料を作るのに莫大な労力を使いたくないからです。「来年以降もお願いします」と言われれば、真剣に資料を作ることに躊躇しませんから、受講生にとって、ひいては依頼者にとって得なのではないか、と考えています。

 

新製品の開発に際しても、設計段階から下請けと共同作業をすれば、製品化が決まってから実際の製造までの期間が短縮できます。設計図ができてから部品メーカーを集めて入札するより効率的なのです。

 

「今後も受注できると決まっていると下請けが手抜きをするのではないか」という懸念はありますが、「手抜きをしたら数年後に下請けを切る」と通知しておけば、そうした懸念は払拭できるでしょう。

 

 

今回は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。ご了承いただければ幸いです。

 

 

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塚崎 公義

経済評論家

 

 

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