絶望からの反撃…法律を武器に、理事長の解任請求の準備開始
八方塞がりに見えたAさんでしたが、マンション管理士に相談したことで、少しずつ状況が動き始めました。
まず着手したのは、管理組合の帳簿・書類の閲覧請求です。区分所有法第33条に基づき、組合員には管理組合の会計帳簿や収支報告書の閲覧を請求する権利があります。理事長が拒否し続ける場合、その行為自体が違法となり得ます。
さらに、区分所有法第43条には「管理者は、集会において、毎年1回一定の時期に、その事務に関する報告をしなければならない」と定められています。長年にわたって総会も収支報告も行われてこなかった事実は、この規定への明白な違反です。
同法第25条第2項には「管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、各区分所有者は、その解任を裁判所に請求することができる」と規定されています。
Aさんはこの条文に基づき、理事長の解任請求の準備を弁護士とともに始めました。「証拠隠蔽」「書類開示拒否」「長年の報告義務違反」の事実が積み重なることで、Aさんの手元には法的に戦うための材料が着実に揃いつつあります。
【マンション管理士が解説】民法改正で「遅延損害金」は5%から3%に
ここで重要な法律のポイントがあります。2020年4月の民法改正により、法定利率は年5%から年3%に引き下げられました。したがって、「管理規約に遅延損害金の定めがない場合、遅延損害金は年3%が適用される」というのが現在のルールです。
Aさんのマンションのように、管理規約の運用が不透明で、遅延損害金の規定が確認できない場合、理事長が勝手に「5%で請求」することは法的に認められません。
つまり、遅延損害金5%という請求は、根拠が極めて薄いということになります。
