管理会社が理事長となる「新たな管理方式」
現在、全国のマンションでは、「建物の老朽化」と「区分所有者の高齢化」という、いわゆる「二つの老い」が深刻な構造的問題となっている。
国土交通省の調査では、区分所有者(世帯主)の25%が70歳以上、築40年を超えるマンションでは、その割合は55%に達する。この高齢化は、理事・監事の「なり手不足」を加速させ、管理組合の運営に大きな支障をきたしている。
一方、管理会社側も人材不足が深刻化しており、管理組合を支援する「フロント担当者」が確保できず、運営の質が低下するケースも増えている。
こうした双方の悩みを背景に、近年急速に導入が広がっているのが、管理会社による「管理業者管理者方式」である。
管理業者管理者方式とは、管理組合の役員ではなく、管理会社が「管理者」としてマンション運営の中心を担う仕組みだ。理事会を設置しないケースも多く、役員の負担は大幅に軽減される。管理会社も社員を理事会に陪席する必要がなく、一人当たりの担当物件を大きく増やせる。
区分所有法には「理事会」という文言がなく、法的にも導入は可能だ。高齢化や多忙な共働き世帯が増えるなかで、「役員をやらなくていい」「プロが全部やってくれる」というメリットは、組合員にとって魅力的に映る。
しかし、この方式には見逃せない“構造的リスク”がある。

