他国が経済成長する中で日本だけ「ゼロ成長」なら、相対的に貧しく…「実質GDP成長率」と「潜在成長率」の超キホン【経済評論家が解説】

他国が経済成長する中で日本だけ「ゼロ成長」なら、相対的に貧しく…「実質GDP成長率」と「潜在成長率」の超キホン【経済評論家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

経済ニュースの理解には、経済指標の知識が不可欠ですが、なんとなく聞き流してしまい、正確な意味を理解していない人も多いものです。今回は「実質GDP成長率」と「潜在成長率」について見ていきましょう。経済評論家の塚崎公義氏が、初心者にもわかるようやさしく解説します。

 ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中! 

トランプ劇場と超富裕層課税 増税か、減税か――税制が映し出すアメリカの真実
奥村眞吾(著)+ゴールドオンライン(編集)

シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!

「今年のGDP÷昨年のGDP」が名目経済成長率。そして…

GDP(国内総生産)というのは、国内で生み出された価値の合計です。具体的には、各社の売り上げから仕入値を差し引いた金額の合計です。GDPの増加率を経済成長率と呼びます。今年のGDPを昨年のGDPで割った値を名目経済成長率、そこから物価上昇率を差し引いた値を「実質経済成長率」と呼びます。

 

中長期的に実質GDPの成長が続けば、国内で生産される物(財およびサービス、以下同様)の量が増えていき、国民生活は豊かになっていきます。短期的に実質GDP成長率が高くなれば、景気が回復していると推測されます。「売れるから作ろう」と考える企業が多いからです。GDPについては、前回の拙稿『中国の経済規模は日本より大きいが、人口は日本よりはるかに多いので…経済評論家が教える「GDP」と「経済成長率」の超キホン』を併せてお読みいただければ幸いです。

ゼロ成長だと「不況」と言われるワケ

実質GDP成長率がゼロだということは、昨年と同じ量の物が作られたということですから、「良くも悪くもない」と考える人も多いでしょうが、そうでもないのです。

 

1つは「他国が経済成長しているなかで日本だけゼロ成長だと、相対的に日本が貧しくなってしまう」ということです。「他人と比べなければいい」というわけにもいかないのです。というのは、石油や食料等の獲得競争で他国に負けるようになると、日本経済がうまく回らなくなる可能性が出てくるからです。

 

もう1つは、ゼロ成長だと失業が増えてしまうからです。バブル崩壊後の長期低迷期、日本経済はゼロ成長だから不況だと言われていました。ゼロ成長だと、昨年と同じ物が作られるのですが、技術が進歩しているので、昨年より少ない人数で同じものが作れてしまい、労働者が余ってしまうのです。

 

技術の進歩というのは、発明・発見のことではなく、国内で使われる技術の進歩のことです。たとえば戦後の日本では農村にトラクターがやってきて、農家の労働生産性(労働者1人当たりの生産量)が飛躍的に増え、農村で余った若者が都会に働きに行ったわけです。トラクター自体は米国では広く使われていましたが、ようやく日本の農家もトラクターを買うことができるようになった、というわけですね。

失業率を変化させない成長率が「潜在成長率」

戦後の高度成長期には、農村にトラクターが、洋服会社にはミシンが来たことで、労働生産性が大きく向上しました。そこで、「経済成長率が相当高くないと失業が増えてしまう」経済だったのです。ところが最近は、経済成長率が低いのに労働力希少(労働力不足と呼ぶ人が多いですが)になっています。

 

失業率を変化させない経済成長率を「潜在成長率」と呼びますが、それが数十年の間に大きく低下したわけですね。

次ページ潜在成長率低下の主因は…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧