築40年の木造アパートを売却したら、突然「税務署」から“お尋ね”が届いたワケ【税理士が解説】
収入1,000万円超のオーナーは「簡易帳簿」だと増税に
最後に、今回の改正で新設された「収入による制限」について触れます。前々年の収入金額が1,000万円を超えている場合には、簡易な記帳のままでは控除額がゼロになってしまいます。
この「1,000万円」とは、前々年の不動産所得または事業所得にかかる収入のことです。固定資産税や管理費などの経費を差し引く前の金額で判定されるため、目安として月々の家賃収入が85万円程度あれば到達するラインとなります。
簡易的な記帳を続けているだけで、控除がなくなり増税になってしまうリスクがあります。「自分は対象かもしれない」と感じる人は、今年から複式簿記およびDXへの準備を進めておくと安心です。
制度改正を「経営体制」を見直すチャンスに
今回の改正は、不動産オーナーにとって「事務負担が増える」と感じられる厳しい内容かもしれません。しかし、裏を返せばどんぶり勘定からの脱却を促し、より透明性の高い経営を求めるメッセージとも受け取れます。
デジタル化への移行は、最初はエネルギーがいりますが、一度仕組みを作ってしまえば、その後の確定申告は驚くほど楽になりますし、自身の資産状況をリアルタイムで把握できるようにもなります。
制度開始直前に慌ててシステムを導入するのは大変です。まだ余裕のあるいまの時期から、クラウド会計の導入や税理士への相談など、少しずつ新しい管理体制への移行を検討してみてはいかがでしょうか。
木戸 真智子
税理士事務所エールパートナー
税理士/行政書士/ファイナンシャルプランナー

