(※写真はイメージです/PIXTA)

税制改正の議論は、一見すると専門的で安定した世界のように見えます。しかし実際には、政治や経済といった社会情勢の変化に大きく影響され、特定の制度や概念が注目を集めては下火になるという循環を繰り返してきました。近年再び脚光を浴びている「給付付き税額控除」も、その一例といえます。本稿では、こうした「税制ブーム」の歴史的経緯と課題を整理したうえで、今後の展望を考察します。

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世界の制度変化から読み取れる“教訓”

なお、世界に目を向けると、2010年頃~2026年にかけて、諸外国の給付付き税額控除制度は大きく変化しています。その典型例が、英国の「ユニバーサルクレジット」です。同制度は、複数の手当を統合した新たな制度へと再編されました。カナダでも、2026年以降に制度内容が改正される見通しです。

 

制度名が同じであっても、その中身は時代とともに変化します。日本が本格的に導入を検討する際には、過去の制度像ではなく、現在の運用実態を踏まえる必要があると考えられます。

 

導入にあたっては、減税と給付を組み合わせることによる財源問題は避けられません。歳入と歳出を一体で設計する視点が求められ、単なる減税措政策ではなく、再分配政策全体のなかで位置づける必要があります。

 

制度の持続可能性が確保できなければ、議論だけでなく制度自体が一時的な“流行”で終わる可能性も否定できません。

 

おわりに

かつての「金融所得一体化課税」の議論では、北欧の二元的所得税が注目を集めましたが、最終的には大規模な制度改革には至りませんでした。税制の世界でも、他のブームと同様、流行が必ずしも制度として定着するとは限りません。

 

「給付付き税額控除」の議論が同様の経過をたどるのか、それとも日本の再分配政策の柱として根付くのかは、今後の制度設計と政治的合意形成にかかっています。我々は、その動向を冷静に見守る必要があるでしょう。

 

 

矢内 一好

国際課税研究所

首席研究員

 

 

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