LINEも電話もつながらない…息子を心配した母の行動
『おはよう。今日も仕事頑張って!』
静岡県に住む美絵子さん(63歳)の日課は、都内で一人暮らしをする息子・翔太さん(31歳)へLINEを送ることです。
翔太さんは28歳のとき、電気設備系の会社へ転職。手取りは約22万円です。都内のアパートの家賃は7万8,000円。加えて、月1万5,000円の奨学金の返済も抱えています。
美絵子さんはスーパーでパート勤務をしていましたが、1年ほど前に退職。夫はまだ働いていますが、帰宅は遅く、夫婦の会話もそれほど多くありません。あり余る時間の中で、息子の心配をすることが増えていきました。
「最近は何でも高いし、ちゃんと生活できているのかしら。体力仕事だし……」
そんなある日のこと。金曜日の夕方に送ったLINEが、翌日になっても既読になりません。日曜日になっても未読のまま。たまらず電話をかけましたが、応答はありません。
美絵子さんの頭の中で、最悪の想像が膨らみ始めます。
「ひとりで倒れているんじゃないか」
「仕事で追い詰められているのでは」
貧困や孤独死を取り上げるニュースが頭をよぎります。そして、月曜日の朝5時。美絵子さんは始発電車と新幹線を乗り継ぎ、息子のアパートへ向かいました。夫には止められましたが、「もし何かあったら後悔する」そう思ったのです。
片道2時間と少し。息子の部屋のインターホンを押すと、しばらくして扉が開きました。
「よかった、何回LINEしても返事がないから!」
「嘘だろ。こんな朝から、なんで急に来るの?」
「だって心配で。2日も連絡ないなんて、普通じゃないでしょ」
「普通だよ。忙しかったし。さすがに怖いよ、母さん。俺のこと、いくつだと思ってるの」
美絵子さんは「ごめんね……」と、肩を落とすしかありませんでした。息子を思っての行動でしたが、一線を越えてしまっていたのかもしれない――。そんな思いが胸に広がっていったのです。

