(※写真はイメージです/PIXTA)

物価上昇や住宅費負担の高まりを背景に、親世帯と子世帯が再び同居するケースがあります。高齢の親にとっては安心感があり、独身の子どもにとっても生活費を抑えられるメリットがあります。しかし、長年別々に暮らしてきた親子が再び同じ家で生活すると、想像以上に距離感の調整が難しくなることがあります。

親子3人で始まった久しぶりの同居生活

正志さん(仮名・66歳)と妻の和代さん(仮名・64歳)は、半年前から長女・真理さん(仮名・43歳)との同居を始めました。

 

真理さんは都内の会社で働いていましたが、勤務先の業績悪化で給与が減少。家賃負担も重くなり、「一度実家に戻ろうかな」と相談してきたのです。

 

正志さん夫婦は歓迎しました。

 

「また一緒に暮らせるなんて嬉しいね」

 

和代さんはそう話し、空いていた二階の部屋を片づけ始めました。

 

夫婦にとって、子どもが独立してからの家は少し静かすぎると感じることもありました。真理さんが戻ってくれば、食卓もにぎやかになる。将来的な安心感もある。そう考えていたのです。

 

真理さん自身も、最初は前向きでした。

 

「少し生活を立て直したら、また一人暮らしするつもりだった」

 

久しぶりの実家生活は、当初こそ穏やかでした。

 

夜に三人で食事をし、休日には近所へ買い物に出かける。和代さんは、「家族が戻ってきた感じがした」と振り返ります。

 

しかし、生活が日常になるにつれ、小さな違和感が増えていきました。

 

最初にぶつかったのは、“生活リズム”でした。

 

真理さんは夜型生活になっていました。一方、正志さん夫婦は早寝早起きです。

 

深夜にキッチンを使う音。洗濯や風呂のタイミング。どれも大きな問題ではありません。しかし、積み重なるにつれ、お互いにストレスを感じ始めました。

 

「もう少し朝ちゃんと起きたら?」

「お父さんたちも、いちいち細かいよ」

 

そんな会話が増えていったのです。

 

総務省『令和2年国勢調査』では、50歳時点で未婚の人の割合は上昇傾向にあり、中高年の未婚者が親と同居するケースも増えています。親子同居は珍しい形ではなくなっていますが、長期間別々に暮らした後の再同居では、生活習慣や価値観の違いが表面化することもあります。

 

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