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日本の国会で議論を呼んだ「相続税11億円」の重み
2026年4月9日の参議院財政金融委員会では、参政党議員が、2024年に亡くなった女優の息子が相続放棄を選択した事例を引き合いに、「日本の相続税は高すぎるのではないか」という趣旨の質問を行いました。日本の相続税の最高税率は55%です。
韓国・サムスン電子家、5年かけ約1兆2,700億円の相続税納付
一方、韓国でも相続税をめぐる議論が大きな注目を集めています。
2020年10月25日、サムスン電子2代目会長李健熙(イ・ゴンヒ)の逝去に伴い、長男の李在鎔(イ・ジェヨン)が3代目会長に就任しました。相続人は妻と長男、娘2人の計4人で、相続税額は12兆ウォン(約1兆2,700億円)超にのぼります。
韓国の相続税の最高税率は50%ですが、筆頭株主が保有する株式には「最大株主割増評価課税」が適用され、評価額が20%上乗せされるため、実効税率は50%を超えることになります。
5月2日の聯合ニュースによれば、この12兆ウォンという韓国史上最高額の相続税を、相続人は5年かけて完納したとのことです。通常、巨額の相続税を納める際には、保有資産(今回であればサムスン電子株式など)を譲渡することで納税資金を捻出するのが一般的ですが、相続人は株式を譲渡していません。
報道では、延納制度を利用して分割納付したのか、あるいは相続開始から6ヵ月以内の申告期限に合わせて銀行借入で納税し、その後返済したのかは明らかではありません。しかし、いずれにせよ相続人が5年間で12兆ウォンの資金を調達したことは事実です。
相続人は納税に加え、医療分野への1兆ウォン(約1,000億円)の寄付、美術品2万3,000点の寄贈など、幅広い分野で社会貢献活動も行っています。そのため、サムスングループからの配当金や保有する金融資産が、これらの原資になったと考えられます。
同じ相続財産でもこれだけ違う…相続税の「国際格差」が示す課題
2023年には、イタリアで元首相の相続問題(相続財産約1兆円)が発生しました。しかし、イタリアの相続税率は4%と低いため、相続財産に比して納税額は小規模にとどまりました。
仮に同様の資産規模の人物がシンガポール居住者であった場合、同国には相続税が存在しないため、税額はゼロになります。
諸般の事情から、たとえ富裕層であっても、居住地や財産所在地を自由に移すことには多くの制約があります。しかし、国が異なるだけで、相続税負担にはこれほど大きな差が生じるのです。
矢内 一好
国際課税研究所
首席研究員
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