「2億円フェラーリ詐欺」が映す「高級車投資」のワナ
イタリアの名門自動車メーカーフェラーリの中古車投資をめぐり、「確実に利益が出る」と持ちかけられた会社役員の男性が約2億円を振り込んだ末に連絡を絶たれるという詐欺事件が話題となっている。
「高級中古車を仕入れて転売すれば、短期間で高収益が得られる」との説明を信じた結果であったが、最終的に残されたのは破産申立ての貼り紙のみだったという。
この事件は極端な事例ではあるものの、高級車が単なる嗜好品ではなく「投資対象」として語られる時代に入っていることを象徴している。希少モデルや生産終了車は価格が上昇する例もあり、株式やワイン、美術品と並ぶオルタナティブ資産として取り上げられることも少なくない。
法廷で問われたのは「価格」ではなく「性質」
しかし、高級車投資には価格変動リスクとは別の、見落とされがちな論点がある。それは税務だ。
その論点を浮き彫りにしたのが、世界349台限定で製造された「フェラーリF50」をめぐる裁判である。F50は1995年の発売当初約5,000万円で販売されたが、近年では1億円を超える水準で取引される例もあり、市場では“走るアート”と称される存在で根強いファンも多い。
ところが、税務上の評価は市場の語り口とは異なるものだった。
東京地方裁判所(令和5年3月9日判決)および東京高等裁判所(令和5年11月30日判決)は、F50が「使用又は期間の経過により減価する資産」に該当するかが争点となった事案において、同車両は減価償却資産に該当すると判断したのだ。
裁判所が重視したのは、取引市場における価格動向ではない。エンジンや駆動系を備え、走行により部品が摩耗し、時間の経過によって物理的劣化が生じ得るという“機械としての客観的性質”である。
価格が上昇しているという事情は、それ自体では資産の性質を左右する決定的要素にはならない、という整理だった。
