(※写真はイメージです/PIXTA)

ふるさと納税を巡り、自治体がポータルサイト運営事業者へ支払う手数料の拡大が波紋を広げている。総務省が公表した調査では、2024年度に全国の自治体が仲介サイトへ支払った額は2,559億円に達し、返礼品の調達費や送料を除いた支払額も1,379億円に上った。制度開始当初は「地方創生」の切り札として期待されたふるさと納税だが、寄付獲得競争の過熱により、返礼品費用や仲介コストの増大が課題となっている。総務省は手数料水準が高止まりしているとして、仲介事業者側へ引き下げを要請する方針だ。※本連載は、THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班が担当する。

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寄付の94.5%がポータルサイト経由

総務省は5月12日、ふるさと納税を仲介するポータルサイト運営事業者への支払い実態に関する調査結果を公表した。2024年度に全国の自治体が支払った総額は2,559億円に達し、返礼品の調達費や送料を除いた支払額は1,379億円に上った。

 

総務省は、手数料水準が高止まりしているとの認識を示しており、林芳正総務相は月内にも業界団体や各事業者に対し、手数料引き下げを要請する考えを明らかにした。

 

ふるさと納税を巡っては、返礼品競争やポイント還元競争が過熱するなか、本来は地方創生を目的とした制度であるにもかかわらず、多額の資金が民間プラットフォーム企業へ流れている実態が改めて浮き彫りとなっている。

 

総務省の調査によると、2024年度のふるさと納税寄付総額は1兆2,728億円。このうち1兆2,025億円、全体の94.5%がポータルサイトを経由していた。

 

自治体が事業者へ支払った2,559億円の内訳は、

 

調達費:947億円

送付費:234億円

広報費:52億円

決済費:161億円

事務費等:1,166億円

 

となっている(各項目は四捨五入している)。

 

特に「事務費等」が大きく、返礼品掲載料やサイト運営委託料などが膨らんでいる。

 

また、調達費と送付費を除いた1,379億円は、広報費や決済費、事務費などにあたり、ポータルサイト経由寄付額の11.5%を占めた。

自治体からは「交渉できない」の声

総務省によると、自治体からは仲介サイト事業者との交渉力格差を訴える声も相次いだ。

 

「全国一律の料金体系で個別交渉は受け付けない」「必要なければ契約しなければよいと言われた」といった意見が寄せられたという。

 

ふるさと納税の市場では、大手仲介サイトへの依存が急速に進んでいる。報道などによると、上位4社で寄付総額の約9割を占める寡占状態にあるとされる。

 

各社の手数料率も、制度開始当初の3〜5%程度から、現在は10%前後まで上昇しているという。

 

本来、自治体が地域振興のために活用するはずの寄付金が、結果として一部プラットフォーム企業の収益源となっている構図が鮮明になっている。

「地方創生」のはずが“域外流出”に

ふるさと納税は、応援したい自治体へ寄付すると、自己負担2,000円を除いた額が住民税や所得税から控除される制度だ。

 

制度開始当初は、地方の財源確保や地域産品のPRにつながる“地方創生策”として期待された。

 

しかし現在は、

 

●返礼品競争

●ポイント還元競争

●広告費競争

 

などが過熱し、自治体側も寄付獲得のために大手ポータルサイトへの依存を強めている点は否めない。

 

総務省によると、2024年度時点で、寄付金のうち自治体が実際に地域事業や行政サービスへ活用できる割合は53.6%にとどまっている。

 

つまり、寄付額の約半分は返礼品や送料、仲介手数料などに充てられている計算になる。

ポイント禁止でも止まらぬ競争

総務省は2025年10月、過熱するポイント還元競争を問題視し、仲介サイトによる独自ポイント付与を禁止した。

 

しかし、総務省は「ポイント禁止だけでは手数料引き下げにつながっていない」としており、今回さらに事業者側へ直接是正を求める方針へ踏み込んだようだ。

 

一方、ポイント施策を展開してきた楽天グループは規制に反発し、国を相手取って訴訟を起こしている。

 

行政による制度適正化と、巨大プラットフォーム企業のビジネスモデルとの対立は今後さらに激しくなる可能性もある。

問われる“制度本来の目的”

ふるさと納税は今や1兆円を超える巨大市場へ成長した。

その一方で、「これは地域支援なのか」「実質的な通販やポイント競争になっていないか」という疑問も強まっている。

 

地方創生を掲げて始まった制度が、結果として一部資金を都市部のプラットフォーム企業や物流関連事業者へ流す構造となっている現状に、総務省は改めてメスを入れようとしている。

 

 

THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班

 

 

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