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現金強奪事件の背景にある「金高騰」と「消費税逃れ」
1月29日、御徒町で現金4億2,000万円が強奪される事件が発生しました。数時間後には羽田空港の駐車場で1億9,000万円を狙った強盗未遂事件が起き、さらに翌日には香港で、御徒町で奪われた資金が再び強奪されるという複雑な展開が報じられました。
一見すると単なる凶悪事件の連鎖のように見えますが、その背後には日本の消費税制度と金(ゴールド)をめぐる構造的な問題があると考えられます。
消費税10%が生む“確実な利ざや”
日本では、金地金を国内で購入すると10%の消費税が課されます。一方、シンガポールや香港には付加価値税や消費税がありません。
たとえば、香港で1億円相当の金を購入し、日本に持ち込んで売却すると、税込みで約1億1,000万円になります。本来であれば輸入時に10%の消費税を申告・納付しなければなりませんが、これを申告せずに持ち込めば、その差額1,000万円が不正な利益になります。
取引額が10億円規模になれば、利益(利ざや)も1億円に達します。金価格が上昇している現在、この構図はさらに魅力を増しています。
財務省が公表した「全国の税関が行った輸入品に対する関税および内国消費税に係る犯罪調査」によると、税関が把握した消費税脱税事件の件数は通告処分294件・告発6件の計300件、脱税総額は7億838万円でした。このうち金地金の密輸は186件、脱税額は6億1,573万円と、全体の約9割を占めています。
告発事例では、シンガポールからの航空貨物に15kgの金地金を隠匿し、消費税1,470万円を免れたケースなどがあります。さらに、粉末状にして身体に隠す手口、偽装ICチップに仕込む方法、圧縮機内部に隠す方法など、密輸の手法は巧妙化しています。
なぜ「決済は香港」なのか
金の密輸取引では、正規の金融ルートによる決済は困難です。そのため取引は現金決済が中心になります。
多くの国では、多額の現金を持ち込む際に申告義務があります。日本では100万円超、米国では1万ドル超が対象です。しかし香港には、現金持ち込みに関する同様の申告義務がありません。この制度差ゆえ、香港が資金決済の拠点となってきました。
過去には相続財産の隠匿目的で現金を持ち出す例も指摘されており、いわゆる“運び屋”が存在するといわれるのも、こうした背景があるからです。
空港のX線検査は主に危険物の発見を目的としており、札束そのものは主要な検査対象ではありません。そのため、多額の日本円が香港へ持ち込まれ、現地の金融機関に預けられるケースもあるとみられます。
