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トランプ劇場と超富裕層課税 増税か、減税か――税制が映し出すアメリカの真実
奥村眞吾(著)+ゴールドオンライン(編集)
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米国内で波紋を呼ぶ、トランプ氏の「IRS訴訟」
トランプ大統領は2026年1月末、自身と家族、そしてトランプ・オーガニゼーションを原告として、米財務省および内国歳入庁(IRS)に対し、総額100億ドル(約1兆5,500億円)の損害賠償を求める訴訟を起こしました。訴訟はフロリダ州の連邦裁判所に提起され、長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏、次男エリック氏も原告に名を連ねています。
この訴訟は、2018年~2020年にかけてトランプ氏の税務情報が報道機関に流出した問題に端を発しています。訴状では、機密性の高い納税情報が適切に保護されなかった結果、名誉毀損や経済的損害、政治的影響を受けたと主張しています。
IRS史上異例の漏洩規模…イーロン・マスク氏やジェフ・ベゾス氏もターゲットに
税務情報の流出は、IRSの元契約職員チャールズ・リトルジョン氏によるもので、同氏はニューヨーク・タイムズや調査報道機関プロパブリカに情報を提供したことを認めています。リトルジョン氏は2024年、機密税務情報の不正開示罪で懲役5年の判決を受けました。
検察は、この漏洩を「IRS史上でも前例のない規模」と位置づけており、トランプ氏だけでなく、イーロン・マスク氏やジェフ・ベゾス氏など、多くの富裕層の税務情報も対象だったとしています。
「税務情報保護」という制度の根幹が問われる事案であり、単なる「政治劇」として片づけることはできないという見方もあります。
しかし、今回の訴訟が米国内で議論を呼んでいるのは、問題が単なる「税務情報漏洩」にとどまらないためです。仮に政府側が敗訴・和解した場合、支払い原資は財務省の一般会計、つまり実質的に納税者負担となる可能性があることから、「巨額の税金が個人または企業に支払われる」という点が論争の的になっています。
また、行政府のトップ経験者であり現職大統領が、自らが統括する行政機関を相手取って訴訟を起こすという構図自体が極めて異例であり、「利益相反」の観点からも注目を集めています。
・国家機関の情報管理責任
・政治と司法の距離
・賠償金の最終負担者(納税者)
こうした点から、この問題は民主主義国家の制度設計そのものに関わる重要な論点を浮き彫りにしています。
相次ぐ大型訴訟…トランプ氏の「法廷戦略」の先にあるものは
今回の件のみならず、トランプ氏は近年、政府機関や報道機関に対し大型訴訟を複数提起しています。
2020年、ニューヨーク・タイムズは、トランプ氏が2016年、2017年に約750ドル(約12万円)しか連邦所得税を支払っていなかったと報じ、大きな波紋を呼びました。当のトランプ氏は当時、この報道を「フェイクニュース」と強く批判。こうした報道が政治的に利用され、2020年の大統領選にも影響を与えたと主張しています。
大統領になって以降も、今回のIRS訴訟以外にも司法省やメディアを相手取った巨額請求が報じられており、政治・司法・メディアを巻き込む法廷闘争は今後も続く可能性が高いとみられます。
奥村 眞吾
税理士法人奥村会計事務所
代表
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