生前に父が「500万円のお墓」を契約も、“代金未払い”のまま逝去――「借金はすべて控除できる」は大間違い…債務控除の対象になるもの・ならないものの“線引き”【税理士が解説】

生前に父が「500万円のお墓」を契約も、“代金未払い”のまま逝去――「借金はすべて控除できる」は大間違い…債務控除の対象になるもの・ならないものの“線引き”【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

相続が発生すると、故人の財産だけでなく、借金や未払い費用といった「債務」も相続人が引き継ぐことになります。ただし、相続税の計算では、これらの債務は原則として「債務控除」として差し引くことが認められており、税額を左右する重要な要素です。しかし、すべての債務が控除できるわけではなく、相続の取得形態や相続人の居住地、債務の性質によっては控除が認められず、結果として相続税の負担が増えてしまうケースも……。そこで本記事では、この「債務控除」の基本と例外、判断のポイントを整理します。 

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債務控除の対象となる「2つ」の区分

吉田課長「なるほど、区分によって扱いが違うのはわかりました。では、そもそも債務控除の対象になる債務とはなんでしょうか?」

 

債務控除の対象となるのは次の2つです(前掲2.(1)(2))。

 

1つ目が、相続開始時点で被相続人に現に存在していた債務で、公租公課(後掲5.)も含まれます。2つ目が、被相続人に係る葬式費用です。

 

まず、(1)の「相続開始時点で存在していた債務」には、たとえば次のようなものがあります。

 

・電気代・ガス代などの未払い公共料金

・水道代・電話代の未払い

・固定資産税の未払い など

 

これらの料金が被相続人の預金口座から自動引き落としされていた場合には、死亡後に口座の引き落とし記録を確認し、未払い分を債務控除します。これは、水道代や電話代などでも同様です。

 

また、実務でよくみられる別のケースとして、被相続人が土地や建物を所有していた場合の「固定資産税の未払い」があります。

 

固定資産税は、その年の1月1日時点の所有者に課税されます(地方税法359条)。納期は4月、7月、12月、翌年2月の年4回とされ(地方税法362条1項)、一括払いも可能です。

 

たとえば、分割払いをしていた被相続人が10月に死亡した場合、死亡時点でまだ支払われていない12月分と翌年2月分は、「未払いの固定資産税」として債務控除の対象になります。

 

吉田課長「なるほど。対象になる債務の範囲は、思っていたより広いんですね」

債務控除の対象にならない債務

吉田課長「反対に、債務控除の対象にならない債務はありますか?」

 

はい、あります。代表的なものとして、下記 3 .(1)(2)の「相続税の非課税財産に関連して生じた債務」が挙げられます。

 

3.相続税の非課税財産についての債務(相続税法13条3項本文) 

 

次の(1)(2)(相続税法12条1項2号・3号)に該当する、相続税が非課税となる財産の取得・維持または管理のために生じた債務は、原則として債務控除の対象にならない。

 

(1)墓所、霊びょう、祭具およびこれらに準ずるもの

(2)宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う一定の者が相続または遺贈により取得した財産で、その公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの

 

たとえば、被相続人が生前に代金500万円のお墓(お墓は相続税の非課税対象)を購入していたものの、代金を支払う前に亡くなった場合、その未払い代金(債務)は債務控除の対象にならず、500万円は相続税の対象となります。

 

一方で、被相続人が生前にお墓の代金を支払ったあとに亡くなった場合、死亡時点では500万円が手元になく、お墓は相続税の非課税財産にあたるため、結果として課税対象となる相続財産は500万円分減ることになります。

 

このように、同じお墓であっても、支払ったタイミングによって相続税の負担が変わることがあります。

 

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