日本企業の進出著しいベトナムは「投機的」水準だが…S&Pがフィリピンを「タイやインドより上」と評価する決定的理由

12月8日週「最新・フィリピン」ニュース

日本企業の進出著しいベトナムは「投機的」水準だが…S&Pがフィリピンを「タイやインドより上」と評価する決定的理由
写真:PIXTA

アメリカの金融情報サービス会社であるS&Pは先月、フィリピンの格付け見通しを「強含み」に据え置きました。汚職問題に揺れるなかで、なぜ「A」ランク入りが視野に入るのでしょうか。一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクター・家村均氏が、最新の評価からその底堅い理由を読み解きます。

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悲願達成のカギは「財政規律」と「クリーンな統治」

S&Pは今回、格上げ実現の条件として、経常赤字と財政赤字のより迅速な縮小を挙げました。逆に、成長が予想以上に停滞したり、対外財務バランスが悪化したりすれば、アウトルックが「安定的」に引き下げられるリスクも指摘しています。

 

フィリピン政府のゴー財務長官は今回の評価維持を歓迎し、高い格付けによる低金利での資金調達が、国民生活向上に必要な公共サービスへの再投資に繋がると強調しました。アジア新興国の中で頭一つ抜け出し、日本やマレーシアに続く「A」ランク国家の仲間入りを果たせるか。汚職問題による停滞を払拭し、財政規律とインフラ投資の両立という難しい舵取りを成功させることが、マルコス政権にとって喫緊の課題となっています。

 

アジアの成長株とされるベトナムやインドを上回り、同格のタイに対しても「見通し」で優位を保ったことは、フィリピン経済の底堅さを国際市場に印象付ける好材料です。しかし、成長率予測の下方修正は、政治腐敗やインフラ整備の遅れが実体経済に影を落とし始めていることへの静かなる警告でもあります。「A」ランク入りという悲願達成のためには、スキャンダルによる「一時的」な停滞を長引かせず、クリーンで効率的な政府運営への回帰を早急に示す必要があります。

 

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
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