日本企業の進出著しいベトナムは「投機的」水準だが…S&Pがフィリピンを「タイやインドより上」と評価する決定的理由

12月8日週「最新・フィリピン」ニュース

日本企業の進出著しいベトナムは「投機的」水準だが…S&Pがフィリピンを「タイやインドより上」と評価する決定的理由
写真:PIXTA

アメリカの金融情報サービス会社であるS&Pは先月、フィリピンの格付け見通しを「強含み」に据え置きました。汚職問題に揺れるなかで、なぜ「A」ランク入りが視野に入るのでしょうか。一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクター・家村均氏が、最新の評価からその底堅い理由を読み解きます。

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成長鈍化も評価揺らがず、「A」ランク射程圏内に

世界三大格付け会社の一角、S&Pグローバル・レーティングは11月28日、フィリピンの長期ソブリン格付けを「BBB+」、短期格付けを「A-2」に据え置くと発表しました。特筆すべき点は、今後の変更方向性を示すアウトルック(見通し)について、引き続き「ポジティブ(強含み)」を維持したことです。

 

これは、今後12カ月から24カ月以内に、フィリピンが悲願とする「A」ランク領域へ格上げされる可能性が残ることを意味します。足元で政治的な動揺や経済成長の鈍化が見られる中でも、同国のマクロ経済の基礎的条件(ファンダメンタルズ)に対する国際的な評価は揺らいでいないことを示唆しています。

 

今回の判断において焦点となったのは、国内で波紋を呼ぶ洪水対策事業をめぐる汚職スキャンダルと、それに伴う経済への悪影響です。S&Pは、この問題によるインフラ事業の停滞と公共支出の遅れが、今年の成長率を押し下げる要因と分析しています。事実、第3四半期のGDP成長率は4%まで減速しており、同社は2025年の年間成長率予測を従来の5.6%から4.8%へ、2026年予測を5.8%から5.7%へと下方修正しました。しかし、同社はこうした減速をあくまで「一時的要因」と捉えており、長期的かつ構造的な成長トレンド自体は損なわれていないとの見解を示しました。過去10年以上にわたる慎重な財政運営や、管理可能な範囲にある財政赤字が、現在の格付けを支える防波堤となっています。

 

フィリピンの「BBB+(ポジティブ)」という評価をアジア近隣諸国と比較することで、同国の立ち位置と目指すべきゴールが浮き彫りになります。域内の信用力の頂点に立つのは、盤石な金融センター機能を持つシンガポールであり、最高位の「AAA」を維持しています。これに続く日本は、膨大な公的債務を抱えつつも強力な資金調達力と経済規模により「A+」の高評価を得ています。そして、フィリピンが次なる目標とするのがマレーシアです。同国は「A-」を有しており、フィリピンが現在の「BBB+」から一段階格上げされれば、この「A」ゾーンの入り口に立つことになります。

 

一方、同じ「BBB」ゾーンには地域のライバルがひしめいています。最大の比較対象となるのは、自動車産業等の集積が進むタイ(BBB+)ですが、決定的な違いはアウトルックにあります。タイが「安定的」であるのに対し、フィリピンは「ポジティブ」を維持しています。これは、将来的な成長余地や財政改善の可能性において、フィリピンがタイよりも高く評価されていることを示し、次期格上げ競争で一歩リードしているといえます。

 

また、巨大市場を持つインドネシア(BBB)や、急成長するインド(BBB-)はいずれも投資適格級ですが、フィリピンより下位に位置します。さらに、日本企業の進出も著しいベトナムは「BB+」にとどまり、未だ「投資適格級」には達していません。ベトナムが依然「投機的」水準とみなされる中、フィリピンが投資適格級の上位を安定維持していることは、海外直接投資(FDI)の誘致や国債発行条件において大きな優位性となります。

 

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
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※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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