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業務上の死亡であると認められなかった事例
ある乳業会社A社の専務取締役Bさんが業界会議に出席中に死亡し、A社はBさんに対して弔慰金2,800万円と死亡退職金2,700万円を支給しました。
ところが、税務署長は「弔慰金として支払われた2,800万円は、実質的には死亡退職金だ」として否認したのです。
吉田課長「審判所はどのように判断したのでしょうか?」
弔慰金の存在は認めるも、「業務上の死亡」にはあたらず
A社の「役員退任慰労金の支給基準」に「弔慰金を含む」と記載されていたことから、審判所は弔慰金の存在自体は認めました。
しかし、Bさんの死因は、脳出血による病死でした。会議中に特別強い精神的緊張があったとはいえず、会議への出席が直接の死因とは認められないと判断されました。さらに、長年の業務による負担の蓄積も認められず、審判所は「業務上の死亡には当たらない」と結論づけました。
これにより、弔慰金が非課税になるのは先述のように「給料の半年分まで」となり、半年分を超える部分は「死亡退職金」として課税対象となりました。
また、A社はBさんのために社葬を行いました。税務署長は「社葬費用も弔慰金に含まれる」と主張しましたが、審判所はこれを否定しました。「社葬は会社の対外的な儀礼であり、遺族への給付である弔慰金とは性質が異なるため、社葬費用を相続財産に加える必要はない」と判断したのです。
この事例は「業務上の死亡かどうかの判断基準」と「社葬費用の扱い」が整理されている点で、実務上の参考になります。このように、弔慰金が非課税になるかどうかは、死因や支給の性質を細かく見て判断されます。
「死亡退職金」の非課税枠
吉田課長「死亡退職金の非課税枠について教えてください」
以下に示すとおり、「500万円×法定相続人の数」が非課税となります。
3.死亡退職金の非課税枠(相続税法12条)
相続人が受け取った死亡退職金は、以下の式で算出された金額までが非課税となる。ただし、この非課税の適用は「相続人」に限られる。
(注) 養子がいる場合、以下のように人数を制限して数える(相続税法15条2項)
・被相続人に実子がいる、あるいは実子はいないが、養子が1人いる……1人
・被相続人に実子がおらず、かつ養子が2人以上いる場合……2人
なお、相続放棄があった場合でも、放棄がなかったものとして人数を計算する。
ただし、みなし相続財産である死亡保険金と同様、この非課税枠は「相続人」に限られる点に注意が必要です。
多田 雄司
税理士
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