相続税はタンス預金で節約できるの?
マイナンバーカード発行以降、日本のタンス預金の総額が減っているという話ですが、これは本当です。
株式会社第一生命研究所の試算によると、2024年9月時点のタンス預金はおよそ50兆4,000億円と、ピーク時の約60兆円から10兆円近く減少しています。
とはいえ、いまだ相当なお金がタンス預金になっており、市場に出回っていないということです。
タンス預金とは、現金を銀行口座に入れず自宅などで保管している状態を指します。わざわざ口座からお金を下ろす手間がなく便利だからという人もいますが、税金対策として活用できると考えている人も少なくありません。
「口座に入れなければ足がつかないので税務署にはバレないだろう」という発想です。特に、親から相続したお金を意図的にタンス預金にして申告せず、相続税を抑えられると思っている人が多いようです。
しかし、税務署はさまざまな方法で収入状況や財産状況を把握しています。口座に入っていないお金があったとしても、そこから推測して把握してくるのです。経験上、税務署は結構捕捉してきます。
タンス預金がバレる主な理由
申告していないお金が税務署にバレる理由は次の通りです。
預金通帳から判明するケース
預金の引き出し回数や入金記録からバレることがあります。
通常、生活費としてある程度の回数で引き出すものですが、金額が大きいと税務署は「生活費にしては多すぎないか、引き出してタンス預金にしているのでは」と疑います。
また相続の場合、被相続人と相続人の両方の通帳が調査され、相続前後に大きな入出金があれば理由を聞かれます。相続税調査では過去10年間の記録を遡ることもあるため、何年も前に移していても発覚する可能性が高いです。
支払調書からバレるケース
退職金や満期保険金、株の配当金などは、会社や保険会社、証券会社が税務署に支払調書を提出する義務があるため、税務署は皆さんの手元に入ったお金を把握しています。確定申告に反映されていないと「そのお金はどうしたのですか」と聞かれます。
意外なところでは、貴金属や宝石を売却した場合も、1点または一組あたり30万円を超えると支払調書が共有され、売却益が課税対象になります。
そのほか、不動産購入時も登記情報から税務署に伝わります。大きな買い物は基本的に税務署に知られていると考えたほうがいいでしょう。
