預金通帳を使って財産を確認
吉田課長「その探し方ですが…」
お父様の預金通帳をすべて集めることが、最も重要です。預金通帳を見ると、入金欄には入金額とともに入金の名目(理由)が印字されているものがあるからです。これを手がかりに、お父様が持っている財産を確認します。
吉田課長「たとえば?」
お父様が信用金庫や生協などに出資をしているとします。吉田課長は、この事実を知りません。この場合、預金通帳に振り込まれた配当金の支払先を確認することにより、これらの団体に対する出資金があることを確認することができるのです。
株式や証券の確認方法
吉田課長「上場株式の配当金は、特定口座に入金されますよね?」
配当金を、株式数比例配分方式での受取りを選択すると、特定口座に入金されます。
ただし、配当金を預金通帳で受け取ることもできます(登録配当金受領口座方式、個別銘柄指定方式)。預金通帳で配当金の入金を確認すると、配当金に対応する株式を確認します。別の方法としては、上場株式や証券投資信託などについては、特定口座を開設している金融機関がわかれば、その金融機関に問い合わせをすることにより確認することができます。
もし、たとえば国内で発行されている上場株式を所有していることは知っているが、預け先の金融機関がわからない場合は、「ほふり」(株式会社証券保管振替機構)に照会することにより確認することができます。これは有料になります。
預金通帳から分かる債務の確認
吉田課長「預金通帳には、支払いについても印字されていますね」
口座引き落としとしている電気代、ガス代、水道代が典型的なものです。相続開始(死亡)後に預金通帳から引き落とされているものについては、相続税を計算する場合の債務に当たるか否かを検討します。
たとえば預金通帳に返済金と思われる出金がある場合は、お父様が銀行などからの借り入れがあるのではないかと推測して、借入金の有無や借入額を確認します。
吉田課長「預金通帳は情報の宝庫ですね」
そのとおりです。さまざまな情報を得ることができます。ただし、納税者にとって都合の悪い情報もある可能性があります。
