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史上最年少で出席した役員会
1988年、ワコールに勤めて7年目、私が28歳の時に大きな出来事がありました。ワコール史上最年少で役員会に出席することになったのです。
その頃、セシールやトリンプといった競合企業が通信販売を開始して、業績を伸ばしていました。このままでは数年後にはこの競合2社にワコールは追い抜かれてしまう。会社の将来を考えても、ここで我が社も通信販売事業を開始すべきだろう。
そう思った私は、提案書を書き、専務のところに持っていき、相談しました。私の話を聞いた専務は、「よくわかった。役員会にかけよう。提案はお前がやってみろ」と言うのです。専務がこの提案に乗り気であることは話していてわかりました。
よし、やってやろう。そんな気持ちで、私は初めての役員会に出席したのです。緊張しました。私が尊敬するカリスマ経営者の前で提案するのです。うまくやれるのか、気が気でなりませんでした。
その時ふと、テスト販売をするために専務が命懸けのプレゼンをする光景が頭に浮かんだのです。
「そうだ! あの時の専務のように、私も精いっぱいやろう」
そこからは何も恐れることなく、ただただこの会社の将来のために、私はプレゼンをしました。役員の方々は、真剣に私の話に耳を傾けてくださいましたが、残念ながらこの提案が承認されることはありませんでした。
「通信販売を行えば、今、実店舗で買ってくださっているお客様が通信販売で買うようになる。これまでずっと我が社のために頑張ってきてくれた実店舗を窮地に追いやるようなことはできない」というのがその理由でした。
上層部の判断ですから、私は何も言う立場にありません。でもこの時、私の中で何か、仕事に対する情熱のようなものが冷めていくのを感じました。
