(※写真はイメージです/PIXTA)

親や身近な人から財産を受け継ぐとき、「相続税」という税金に向き合う必要があります。相続税とは、亡くなった人(被相続人)から財産を受け取った相続人に課される税金で、財産の移転に伴う経済的利益に着目して課税されます。生前に贈与を受ける場合には贈与税が関係するなど、財産をどう引き継ぐかによって納税額は大きく変わります。この記事では、顧問先の吉田課長の質問に沿って、相続税と贈与税の基本や制度のポイントを税理士がわかりやすく解説します。

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血族全員に相続権があるわけではない

吉田課長「血族にあたる人って、たくさんいますよね。この血族全員に相続権があるんでしょうか?」

 

民法では、親族にあたる血族を「6親等内の血族」と定めています(民法725条)。下記の[図表]は、吉田さんの家系図を兼ねた「2親等内の血族」(配偶者を除く)を示したものです。たとえば、父母や子どもは「1親等」、祖父母・孫・兄弟姉妹は「2親等」の血族にあたります。

 

出所:筆者作成
[図表]2親等内の血族(吉田さんの家系図) 出所:筆者作成

 

血族全員に相続権を与えるわけにはいきません。そこで、民法は優先順位を定めています(民法887条、889条)。

 

吉田課長「やっぱり、親等が近い人から順番に相続するんでしょうか?」

 

課長の推察のとおり親等が近い人から相続しますが、ただし注意点もあります。たとえば、父母と子はどちらも「1親等」ですが、民法では子どもを第一順位と定めています(民法887条1項)。

 

吉田課長「被相続人(親)の子どもが、親より先に亡くなっていた場合はどうなるんですか?」

 

被相続人(親)の子どもが、親より先に亡くなっていた場合には、たとえ被相続人の父母が健在でも、被相続人の子の子、つまり被相続人の孫が相続人になります(民法887条2項本文)。これを「代襲相続」といいます。

 

吉田課長「では、そもそも被相続人に子どもがいなかった場合はどうなりますか?」

 

被相続人に子どもがいなかった場合は、1親等である父母が相続人になります(民法889条1項1号本文)。また、子どもがすでに亡くなっていて、代襲相続する孫などもいない場合も同様です。

 

吉田課長「あまり多くないケースだと思いますが、祖父母も生きている場合はどうなりますか?」

 

父母は1親等、祖父母は2親等です。祖父母も生きている場合、親等が近い父母が優先されて相続人になります(民法889条1項1号但書)。また、すでに父母も祖父母も亡くなっている場合は、被相続人の兄弟姉妹が相続人になります(民法889条1項2号)。

 

吉田課長「では、その兄弟姉妹もすでに亡くなっていた場合は?」

 

被相続人の兄弟姉妹も亡くなっていた場合は、兄弟姉妹の子ども、つまり甥や姪が、兄弟姉妹を代襲して相続人になります(民法889条2項、887条2項の準用)。そして、こうした相続人が被相続人の財産を受け取った場合は、相続税の納税義務者になります(相続税法1条の3)。配偶者や受遺者についても、同じように相続税の対象になります。

 

配偶者には「固有の相続権」がある

また、被相続人の配偶者は、常に相続人となり、血族の相続人と同じ順位で相続権を持っています(民法890条)。

 

吉田課長「受遺者も被相続人の遺産を受け取ることができるんですよね?」

 

推察のとおり、受遺者も被相続人の遺産を受け取ることができます。被相続人は生前に遺言を作成して、自分の最終的な意思を示すことができます。民法964条には、「遺言者は、包括または特定の名義で、その財産の全部または一部を処分することができる」と規定されています。

 

遺言で遺贈を指定された受遺者は、その意思を受けて指定された財産を相続することになるのです。

 

 

多田 雄司

税理士

 

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