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〈登場人物〉
吉田課長:A社で働く課長。3人きょうだい(吉田さん、弟、妹)の長男で、2人の子を持つ。税理士とは業務上のやり取りがある。
親が亡くなったら、相続税は誰が納める?
吉田課長「あの……相続税って、子どもが必ず納めなければならないんでしょうか?」
素朴な疑問を口にした課長。話は、相続税の納税義務がある「相続人」と、遺言によって財産を受け取る「受遺者」へと移っていきます。
受贈者は、必ずしもお子さんとは限りません。ここから、まずは「相続人」の定義からみていきましょう。
相続人の範囲
民法では、被相続人の親族のうち、血のつながりがある人(血族)と配偶者を「相続人」としています(民法887条、889条、890条)。この血族には2つのタイプがあり、ひとつは「自然血族」、もうひとつは「法定血族」です。
吉田課長「自然血族って、どういう人のことですか?」
自然血族は、同じ祖先から血のつながりがある人たちのことをいいます。たとえば、親と子は「血族1親等」の関係にあります。
吉田課長「『親等』というのはどういう意味でしょうか?」
民法では、「親等は、親族間の世代数を数えて、これを定める」とされています(民法726条1項)。ここでいう「世代」とは、親・子・孫のように、それぞれを1つの区切りとして数える単位のことです。
相続税を抑えるために、「孫を養子にする」という選択肢も
次は、『法定血族』について説明しましょう。民法727条では、『養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる』、と定められています。つまり、血のつながりがなくとも、法律上は血族とみなされます。
吉田課長「えっ? 血がつながっていなくても、血族になるんですか?」
ちなみに、血がつながっている孫でも、養子にすることができます。もともと祖父母と孫は血のつながりがありますが、「子」ではないため、養子縁組をすれば法律上の「子(=養子)」として扱われます。
吉田課長「ええ! そうなんですか。ということはつまり、養子縁組した孫は、実子と同じ立場になるということですよね」
しかも、相続税の計算では、相続人の数が多いほど「基礎控除額」が増える仕組みになっているため、納める税金が少なくなる可能性があります。
