築40年の木造アパートを売却したら、突然「税務署」から“お尋ね”が届いたワケ【税理士が解説】
現状の課題、これから不動産投資を始める人に向けて
かくいう筆者も、中古の収益物件については、何棟か購入したり、または買い損ねてしまったりといった、おそらく多くの一般投資家の皆様と変わらない立場であります。コロナ禍以降、不動産投資、特に中古アパート投資の認知度が日に日に上がり、市況が過熱しているため、購入意欲があっても思うように買えない状況が続いています。収益物件を取り扱うポータルサイトの登録者数も右肩上がりということもあり、物件の購入にはなかなか難しい状況と感じます。
中古アパート投資は、表面利回りが提示されている点で株式や債券の投資にイメージが近く、加えてすでに入居者がいるため、購入直後から家賃が入るメリットがあります。こうしたメリットから、不動産投資初心者でもエントリーしやすいというのもあるのでしょう。ただ中古ですので、いずれ経年劣化による修繕費などは必ず掛かります。この点は、投資としての難易度はやや高いでしょう。
一方で、新築のアパートという選択肢もあると思います。筆者も現在初めて新築投資に取り掛かっていますが、新築のほうが最初に土地を買ったり建物を建てたりしてまとまった資金が必要になり、かつ建築期間中は家賃が入らないというデメリットがあります。ですが、一度建ててしまえば当面は修繕があまり必要ないという点では、むしろ初心者向きといえるのかもしれません。
総じて不動産投資というのは、どんなに本やWEBの記事を読んで勉強をしても、実際にやってみないとわからない点もあると思います。これからエントリーしようと思う方は、一室、一軒、一棟でもまずは買ってみることがよいのではないでしょうか。
不動産投資は少なくとも数百万円単位、多ければ数十億円という額の投資です。自身の返済能力や資産状況と乖離した額の投資を行ってしまうと、万一の際のリカバリーに時間がかかる投資でもあります。このため、まずは自身の財務状況や事業計画に合致した規模の投資から始めてみるのがベストです。
不動産投資をこれから始める方には、筆者が経験したような手元資金が減っていってしまう失敗を避けていただきたいと考えています。ぜひ他山の石として、慎重に進めてください。
もちろん最初は現金で不動産投資してみる、というのも堅実な選択でしょう。しかし、2棟目、3棟目と買い進めていくことをお考えの方は、最初に買う1棟目から、金融機関ローンを使うことも活用されたほうがいいと思います。
いずれにせよ、不動産投資を続けていく限り、大半の方はどこかで金融機関との付き合いが必要になります。購入したい物件が急に出てきたとしても、審査などがあります。事前に金融機関との付き合いがない場合、そもそも希望の物件を購入することすらできないことも。このため、金融機関との付き合いは「欲しい物件がみつかってから」ではなく「不動産投資を志したときから」、入念に準備を進めていくべきかと思います。
特にサラリーマンの方は、安定した収入があるうちに金融機関とのコミュニケーションを深め、金融機関からの信頼を得ておくことが、その後の堅実なアパート経営の選択肢を広げるうえで非常に重要です。個人の属性に合わせたパッケージローンを提供し、優良なサラリーマン投資家をサポートしている金融機関もあるため、積極的に相談してみるのがよいでしょう。
近藤 崇
司法書士法人近藤事務所
司法書士

