築40年の木造アパートを売却したら、突然「税務署」から“お尋ね”が届いたワケ【税理士が解説】
不動産投資を始めたきっかけ
司法書士の近藤と申します。横浜市で司法書士をしながら、別会社で宅建免許を取得し、不動産投資事業や不動産仲介業務をしています。
筆者がそもそも不動産投資に興味を持ったのは、司法書士という仕事柄もあるのですが、知人の不動産会社から勧められた中古戸建ての「リースバック案件」です。リースバックというのはご存じの方も多いでしょうが、前の所有者がそのままその不動産を借りてくれるという不動産投資の一種です。
入居者が前の所有者であることが多いため、管理が非常に楽であるのが特徴といえます。ちょっとした修繕なら、借り主が自分で対応してくれることも多いです。
ただ一方で、多くがやや郊外の戸建てが多いことから、不動産の流動性や、銀行融資や担保価値、という面では少し劣るかもしれません。また、払ってもらう家賃から逆算して売却価格を設定するため、比較的価格が安いのも特徴です。価格を高くしてしまうと、入居者の支払い家賃も高くせざるを得ません。おおむね市価よりは価格が安くなります。
こうした特徴から、リースバックは不動産投資初心者にとってエントリーのしやすい不動産投資といえます。筆者も最初に購入した物件から数年のあいだに、2~3軒のリースバックの戸建て物件を購入しました。
融資を活用した不動産投資へシフトした理由
こうして不動産投資を始めた筆者ですが、そのうち、リースバック投資にも少し短所があることに気づきました。というのも少額から始められることから、銀行融資を組まずに投資を行っていたため、どうしても手元資金が減っていってしまうのです。そもそもリースバック物件は、先述のとおり郊外の戸建てが多いため、銀行融資が付きづらいという側面もあります。
詳しい説明は省きますが、仮に利回り10%の不動産物件を買ったとしても、そのすべてを現金で買った場合、手元資金を回収できるのは10年後です。実際には、購入諸費用や管理費、固定資産税などもかかるので、10年ではとても回収できません。
しかし融資を使えば、出した資金(自己資金)を回収するという面では、もっと早く資金を回収することもできます。不動産投資の世界では投資利回りやROI(Return on Investment)などと呼びますが、こうした利回りベースでいえば、ROI 20%なども十分可能なのが不動産投資です。このため不動産投資というのは、金融機関の融資と切っては切れない関係といえるでしょう。
融資により、手元資金以上の利回りを得る効果をレバレッジ効果といいます。レバレッジ効果を最大限に活用していくことが不動産投資の魅力といえるでしょう。不動産投資は、表面的な利回りだけを見ると、ややもすると株式や国債などの債券とほとんど変わらない商品と思われがちです。しかしその利回りだけで判断すると、むしろ入退去のリスクもあるため、株式等に比べリスクの多い商品ともいえます。どんな投資であってもリスクには十分な理解が不可欠です。
その後、筆者は徐々に築古の戸建てリースバック投資から、自己資金を極力温存し金融機関からの融資を受ける方針に変えていきましたが、最初に融資を受けるときは非常に怖かったのを覚えています。筆者は司法書士なので人の金銭消費貸借契約や抵当権設定に立ち会う機会はそれまでも多くあったのですが、いざ自分が債務者の立場になると、緊張した覚えがあります。

