税理士は83歳まで返済しろという
詩子さんは自分が父親から相続したように、いずれ、娘たちに引き継いでもらおうと考えていましたが、娘の言葉を聞いてはっとしたと言います。そんな選択肢もあるのかと思い、毎年の確定申告を依頼している顧問税理士にも相談してみたのです。
税理士のアドバイスは、「借入を完済して達成感を味わったらどうですか」ということでした。借り入れた分を返済するまであと13年。詩子さんは83歳になります。
こうしたいきさつがあり、どうすればいいかというのが詩子さんのご相談内容でした。詩子さんは「自分の人生、これでいいのだろうかという疑問が出てきた」とも言われました。
財産は状況に合わせて持ち変えるべき!
賃貸事業の収支は悪くないので、借入返済がある間の13年、維持することはできると言えますが、それには常に満室にする努力が必要です。
修繕費やリフォーム代も必要になるため、今まで以上に力をいれないといけない状況になります。借り入れ返済後は手取りもよくなりますが、築35年の賃貸マンションを維持するための方策があれこれ必要になり、これも簡単ではありません。
70代、80代で、今までどおりに日々、賃貸事業に携わることは大変だと言えます。
よって詩子さんの人生を考えるのであれば、現在の不動産を手放し、借入も返済し、子どもたちと行き来しやすい立地に住み替え、手間のかからない築浅の賃貸物件に持ち変えることのほうが現実的だとおすすめしました。
顧問税理士が「83歳まで現状維持、借入返済した達成感を得てもらいたい」というアドバイスは、詩子さんと子どもたちの心情に寄り添っているとは思えません。財産のために人生を犠牲にすることはナンセンスだといえます。
それよりも、財産を生かして詩子さんと子どもたちが将来的にも不安がなく、楽しみが持てる人生を選択してもらいたいという思いです。
詩子さんは売却して住み替えの方向で子どもたちにも話をして、決断していきたいとおっしゃっていました。どのタイミングにするか、決めるということです。
曽根 惠子
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
相続実務士®
株式会社夢相続 代表取締役
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp)認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
注目のセミナー情報
【海外不動産】12月18日(木)開催
【モンゴル不動産セミナー】
坪単価70万円は東南アジアの半額!!
世界屈指レアアース産出国の都心で600万円台から購入可能な新築マンション
【事業投資】12月20日(土)開催
東京・門前仲町、誰もが知る「超大手ホテルグループ」1階に出店!
飲食店の「プチオーナー」になる…初心者も参加可能な、飲食店経営ビジネスの新しいカタチとは?
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
