トランプ関税で2026年の賃上げ率は大きく低下するリスク
日本経済は2020年5月を底として拡張局面が続いてきたが、回復ペースが緩やかなものにとどまっていることもあり、米国が発動した相互関税によって景気後退に陥るリスクが高まっている。景気が悪化すれば、当然のことながら賃上げを巡る環境も悪化し、2026年の春闘賃上げ率は大きく低下するだろう。
賃上げを決める3要素のうち、人手不足感については人口動態面からの構造的な要因によって高止まりする可能性もあるが、ここまで見てきたように、人手不足感の強さは必ずしも賃上げの主因とは言えない。賃上げ率が大きく下がるのは、景気減速に伴う需給バランスの悪化、円高、原油安などから物価上昇率が大きく低下した場合だろう。
ただし、より重要なのは実質賃金の上昇率であり、名目賃金の伸びが大きく下がったとしてもそのこと自体を過度に悲観する必要はない。春闘賃上げ率は2023年以降に大きく高まったが、消費者物価上昇率が日本銀行の「物価安定の目標」である2%を上回っていることから、現時点では実質賃金上昇率のプラスが定着するには至っていない。
先行きについては、物価上昇率の低下によって名目賃金の伸びは鈍化する可能性が高いが、実質賃金の上昇が持続的・安定的なものとなれば、個人消費を下支えすることが期待される。2026年の春闘賃上げ率が前年を下回ることは避けられそうもないが、物価上昇率を上回るベースアップが確保できるかが注目される。
* 斎藤太郎「2024~2026年度経済見通し」、Weeklyエコノミストレター(2025/3/11)
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