パワーカップル世帯数は10年で2倍に
次に、夫婦共に年収700万円以上のパワーカップル世帯に注目する。パワーカップル世帯は近年、増加傾向にあり、過去10年で約2倍に増え、2024年では45万世帯に達する(図表4)。なお、共働き世帯に占める割合は2.9%である。
冒頭で触れた通り、パワーカップルは世帯数としては僅かではあるが、消費のけん引役として注目されている。また、企業が商品・サービスの提供を考える場合、夫婦それぞれの年収だけではなく、世帯年収に広げて見ても、高消費層として位置付けることができるだろう。
参考までに、パワーカップルに近しい世帯として、夫婦の合計年収が1,500万円前後・以上(図表3(c)の水色より上)を見ると、66~206万世帯で、総世帯の1.21~3.78%、共働き世帯の4.25~13.26%を占める。100万世帯を超えてくると、消費市場として一定の魅力があるのではないだろうか。
なお、夫婦の合計年収が2,000万円以上の世帯は19万世帯で、総世帯の0.35%、共働き世帯の1.22%を占める。よって、先に見た通り、年間所得2千万円以上の世帯は59万世帯であるため、このうち共働き世帯は約3割を占めると見られる。
“子のいる”高収入の共働き夫婦が圧倒的
視点を図表4の夫婦共に年収700万円以上のパワーカップル世帯数の推移に戻すと、労働市場が深刻な影響を受けたコロナ禍を経ても、おおむね増加傾向が続いている。過去の分析※4において、コロナ禍では、非正規雇用者より正規雇用者の方が、正規雇用者の中では管理職等の高収入層ほど悪影響を受けにくい傾向があり、パワーカップルはコロナ禍など社会変化の悪影響を受けにくい層が多いと見られる。
また、パワーカップル世帯の内訳を見ると、以前から「夫婦と子」から成る核家族世帯が過半数を占めて最も多いが、その割合は上昇傾向にあり、2024年では64.3%を占める。次いで「夫婦のみ」世帯(33.3%)が多い。
なお、「夫婦と子」と「夫婦と子と親」世帯をあわせた子どものいる世帯(パワーファミリー)はパワーカップル世帯の66.7%にのぼる。つまり、高収入の共働き夫婦と言うと、DINKS(Double Income No Kids)との印象も強いかもしれないが、実際にはDEWKS(Double Employed With Kids)の方が圧倒的に多い。
※4 久我尚子「コロナ禍1年の仕事の変化-約4分の1で収入減少、収入補填と自由時間の増加で副業・兼業も」、ニッセイ基礎研究所、基礎研レポート(2021/4/20)など。

