パワーカップル世帯は10年で2倍
次に、パワーカップルを含む共働き世帯の状況を確認する。総務省「令和6年労働力調査」によると、夫婦共に就業者の世帯(以下、共働き世帯)は1,553万世帯であり、総世帯(5,445世帯※2)の28.5%を占める。
この共働き世帯について、妻の年収階級別に夫の年収階級の分布を見ると、妻の年収が高いほど、夫の年収も高い傾向がある(図表3)。
妻が高収入であるほど夫も高収入、ただし扶養控除枠を意識して働く妻も
パワーカップルの妻に該当する年収700万円以上では、夫も年収700万円以上の割合は約7割にのぼる。なお、妻の年収が1500万円以上の世帯において、夫の「収入なし」の割合の高さが目立つようだが、妻の年収が1,500万円以上の世帯数は限られており(5万世帯)、統計の公表値の集計単位が1万世帯であるため、収入階級ごとの世帯数の統計処理の影響が出やすいことを考慮する必要がある。
一方、年収200万円未満を除くと、妻の年収が低いほど夫も相対的に年収が低い傾向がある。以前から指摘されている※3ことだが、統計からも世帯間の経済格差の存在がうかがえる。
一方、妻の年収300万円未満(収入無しを除く)では、妻の年収が低いほど夫の年収が500万円以上の割合がやや高まる傾向がある。夫の年収500万円以上の割合は、妻の年収200万円~300万円未満では42.8%だが、100万円~200万円未満では44.2%、100万円未満では46.6%へとやや上昇する。この背景としては、夫が一定程度の年収を得ているため、妻自身の収入を増やすよりも家庭を重視した働き方を選択したり、夫の扶養控除枠を意識して働く妻が増えることなどがあげられる。
※2 厚生労働省「国民生活基礎調査(2023年)」
※3 橘木俊詔・迫田さやか著「夫婦格差社会-二極化する結婚のかたち」(中公新書、 2013年)

