築40年の木造アパートを売却したら、突然「税務署」から“お尋ね”が届いたワケ【税理士が解説】
民法第235条第1項の窓等に該当する場合
・相手方建物の2階ベランダ真正面にあり、相手方建物の部屋の室内まで見通せる窓(東京地方裁判所昭和61年5月27日判決(昭和59年(ワ)第4974号))
※ブラインドが設置されていたが、いつでも容易に開閉可能なため目隠設備として認められないと判断
・相手方建物の室内を眺望しうる引戸窓(東京地方裁判所平成5年3月5日判決(平成3年(ワ)第13743号)) ※はめ殺し窓ではなく換気のため等の理由で開けることを日常的に予定されていると考えられるため、曇りガラスを使用していても該当すると判断
・引き違い窓(さいたま地方裁判所平成20年1月30日判決(平成17年(ワ)第1489号)) ※網入りすりガラスを使用していても該当すると判断
・透明なガラスを使用しており、その大きさ、設置場所を考慮すれば、日常的に開放することを予定されている窓(さいたま地方裁判所平成20年1月30日判決(平成17年(ワ)第1489号))
民法第235条第1項の窓等に該当しない場合
・塀との間隙を通して相手方建物方向を見るには窓に近寄り見上げるようにしない限り見ることができず、そのようにしても相手方建物の2階ベランダ下側部分程度しか観望しえない窓(東京地方裁判所昭和61年5月27日判決(昭和59年(ワ)第4974号))
・相手方建物とほぼ垂直な位置関係にあって真正面から向かい合っておらず、仮に相手方建物方向を見たとしても東北端の一部分が見えるにすぎない窓(東京地方裁判所昭和61年5月27日判決(昭和59年(ワ)第4974号))
・滑り出し窓(さいたま地方裁判所平成20年1月30日判決(平成17年(ワ)第1489号)) ※「窓の下部のみが押し出され、全開することはできない構造」
・(相手方土地・建物を見通すことができる)廊下(東京地方裁判所令和2年2月7日判決(平成31年(ワ)第5247号))
※当該廊下は居住空間とは独立した通路であるため、居住の一環として恒常的に見通されることにはならないという判断。
目隠し設置義務がある場合、目隠しの「設置の位置、大きさ、材質等は観望を遮るに足るものであることが、必要かつ十分」なものとして求められます(東京地方裁判所平成19年6月18日判決(平成16年(ワ)第3567号等)参照)。
また、民法第235条第1項の窓等に該当するとしても、目隠し設置を求めることが権利濫用にあたり目隠し設置義務が否定される場合があります。
裁判例の傾向を踏まえると、権利濫用にあたるのは、目隠し設置をしないことにより生じるプライバシー侵害等の不利益と目隠し設置をすることにより生じる負担等の不利益を比較して後者のほうが大きい場合であるようです(さいたま地方裁判所平成20年1月30日判決(平成17年(ワ)第1489号))。その判断にあたっては、窓等の用途やこれまでの居住歴等も考慮されているようです。

