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不動産贈与の場合の注意点
今回Aさんは、今後の不動産収益の財産を相続税に加算されないようにするため、相続時精算課税制度を利用して不動産を贈与したのですが、いきなり相続が起こってしまったので、逆に相続税の納税額が多くなるという結果になってしまいました。
不動産など大きな金額のものを贈与する際、相続時精算課税は非常に有効な制度です。ほかにもメリットとしては、生前に贈与をすれば贈与者が確定するため、その財産についての相続争いを避けることができます。
その一方で、今回のように「小規模宅地の特例」が使えないなどのデメリットあります。また、相続時に加算するときの金額は、亡くなったときの価額ではなく、贈与したときの価額となります。そのため、贈与した不動産が値下がった場合はその分、損となります。不動産の登録免許は相続の時であれば固定資産税評価額の2.0%ですが、贈与の場合は0.4%となり、名義変更のコストが高くなることにも注意が必要です。
また、あまりあってほしくないですが、生前贈与を行ってしまうと、子供との関係が悪化するケースもないわけではありません。欲しい財産はもうもらったと考え、その後の親の面倒を看なくなるといったケースです。親の機嫌を損ねたらこの財産をもらえないと思わせたほうが、親の面倒を一生懸命看るかもしれません。そういった考えで生前贈与は行わないなども相続対策のひとつといえます。
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焦って贈与せずに、あらゆるケースを想定した事前の検討を
生前贈与は相続税対策としてよく知られておりますが、やり方を間違えてしまうと思わぬ損をしてしまう場合もあります。
また、令和6年1月から贈与税について改正がありました。生前贈与の3年加算ルールが7年に延長されたこと、相続時精算課税制度にも110万円の非課税枠が新設されるなどといった内容となっています。こうした点にも注意が必要です。
実際に贈与を行うときは専門家に確認するなど、よく検討されてから、ご自身にあった贈与方法や金額を決められるのがよいでしょう。
宮路 幸人氏(多賀谷会計事務所 税理士 CFP)
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