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ひきこもりの息子は施設に頼るしかない…
友蔵さん(仮名/80代)には、50代になるひきこもりがちな息子のヒロシさん(仮名)がいます。ヒロシさんは高校を中退して以来、短期間のアルバイト以外に仕事の経験がなく、現在は無職。普段の外出は家の近くのコンビニエンスストアに行く程度です。高齢の友蔵さん夫婦と同居する実家から、ほとんど出ることがありません。
友蔵さんは、ヒロシさんが40歳を過ぎたころから「自分たち親が亡くなったあと、この子はどうやって生きていくのだろうか」と、その将来を猛烈に心配していました。友蔵さん夫婦の年金は月額22万円、資産は1,000万円程度です。このまま無職の場合、息子が生きているあいだに貯金が底を尽きます。
ある日、友蔵さんがスマートフォンを何気なく操作していると、「ひきこもりの子に集団生活をさせ、社会に適応できるようにする」と謳う業者の広告が目に留まりました。友蔵さんは妻に相談し、断腸の思いでヒロシさんをこの業者に預けることを決意します。
友蔵さんはヒロシさんに気づかれないように業者と連絡を取り、契約を結びました。そして、中国地方にある施設で3ヵ月間生活する費用として、400万円を支払ったのです。
業者の指示のもと、連れ出し決行の日。友蔵さん夫婦は業者のスタッフと入れ替わるようにして家から出て、家にはヒロシさん一人がいる状態にしました。
そして、友蔵さんの手引きで屈強そうな男性数人が家に上がり込み、突然の来訪にパニックになったヒロシさんを半ば抱きかかえるようにして車に乗せ、中国地方の施設へと連れていきました。
ヒロシさんが連れていかれたあと、友蔵さんは「自分の選択は正しかったのだろうか」と不安に駆られましたが、「こうするしかなかったのだ」と自分に言い聞かせました。
