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長年にわたる親子の隔たり
Aさんはひとりっ子。幼少期から父親とは価値観が相違していました。父は「夫が外で働き、妻は家を守るべき」「子どもは親に従うべき」という封建的な考えの持ち主。Aさんはしぶしぶ親の敷いたレールの上を歩んできましたが、常に不満を抱きながら過ごしてきました。
大学進学まで親のいうとおりに進んできたAさんですが、就職活動で初めて反旗を翻します。父が勧める大手企業の事務職ではなく、中小企業の企画部に就職したのです。自分の進みたい道に猛反対する父。反対を押し切って就職したのをきっかけに、絶縁状態となります。
母は専業主婦で、典型的な「昭和の家を守る妻」でした。母が仲立ちをしようものなら、父は「でしゃばることをするな」と激怒します。就職を機にAさんが家を出てからは、「二度と顔を見せるな」と家の敷居をまたぐことすら許されませんでした。
Aさんが結婚するときも、父は結婚式に参加しませんでした。 一度こじれてしまった関係は、父の頑固な性格上、戻ることはありませんでした。ただ、母とは電話で連絡を取り合い、子どもの成長に合わせて写真を送ったり、レストランで待ち合わせて孫に会わせたりしてきました。
しかし、その母も70歳のときに膵臓がんを発症。気付いたときには手遅れで、入院後わずか2ヵ月で亡くなりました。家事を一切しなかった父がひとり残ることを心配しましたが、関係はすでに修復不可能なほど悪化していました。Aさんが母の葬儀の詳細を知ったのは、父からではなく、叔父からの連絡だったのです。

