人が亡くなったら必ず発生する相続。さまざまな手続きが必要となりますが、まずは相続財産がどれほどあるのか確認することが第一歩となります。この段階でトラブルが発生することも珍しくないようです。
「趣味は貯金」の85歳母が死去…遺産は3姉妹に1冊ずつの「預金通帳」に強烈な違和感。実家住まいの次女の制止を振り切り大捜索、暴かれた真実 (※写真はイメージです/PIXTA)

ケチで倹約家の母…目標は3,000万円以上

金融広報中央委員会『令和5年 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]』によると、世帯の金融資産保有額は、「30代世帯」で平均856万円・中央値337万円、「40代世帯」で平均1,236万円・中央値500万円、「50代世帯」で平均1,611万円・中央値745万円、「60代世帯」で平均2,588万円・中央値1,200万円です。

 

「それに比べると、うちの母はスゴイ」というのは、香苗さん(仮名・60歳)。幼少の話からしてくれました。家族は父と母、長女の香苗さんのほか、妹が3人。一家はどこにでもいる家族でしたが、ひとつだけ変わっているところがあったといいます。それは、母が恐ろしいほどに倹約家であったこと。

 

――冷蔵に貼るひらひらとした透明フィルム。電気代が節約になるってやつ。よく知られていますが、実際にやっている人、みたことあります? それ、私の母です(笑)

 

子どものころから「無駄遣いはダメ!」「もったいない!」が口癖。ときに近所にも聞こえるように注意するものだから少し恥ずかしかったと振り返ります。家計が苦しかったというわけではありません。香苗さんの父は誰もが知る大企業に勤めていて、どちらかといえば裕福な家だったといいます。ただただ母の趣味が貯金だったというのです。

 

付き合わされる家族は、正直、うんざり。香苗さん、子どものころ「その貯金はどうするの?」と聞いたことがあるといいます。そのとき、チラッと見せてくれた通帳の中身。「いま、500万円くらい入っているでしょ。同じようなのが、あと2つあるの。私が死んだらあんたたちにあげられるよう、3桁にするのが私の目標」と母はいっていたといいます。