(写真はイメージです/PIXTA)

米国労働統計局(BLS)が1月の雇用統計を発表しました。市場予想に反して下回った雇用者数と失業率ですが、その背景にはいったいどのような要因があるのでしょうか。賃金上昇率や業種、労働参加率などの観点から分析してみましょう。本稿では、ニッセイ基礎研究所の窪谷浩氏が、米国の雇用統計について詳しく解説します。

雇用者数は市場予想を下回った一方、失業率は横這い予想に反して低下

2月7日、米国労働統計局(BLS)は1月の雇用統計を発表した。非農業部門雇用者数は、前月対比で+14.3万人の増加※1(前月改定値:+30.7万人)と+25.6万人から大幅に上方修正された前月を大幅に下回ったほか、市場予想の+17.5万人(Bloomberg集計の中央値、以下同様)も下回った(後掲[図表2]参照)。

 

失業率は4.0%(前月:4.1%、市場予想:4.1%)と前月から▲0.1%ポイント低下し、横這いを見込んだ市場予想を下回った(後掲[図表6]参照)。労働参加率※2は62.6%(前月:62.5%、市場予想:62.5%)と前月から+0.1%ポイント上昇、横這いを見込んだ市場予想を上回った(後掲[図表5]参照)。

 

※1 季節調整済の数値。以下、特に断りがない限り、季節調整済の数値を記載している。
※2 労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に対する労働力人口(就業者数と失業者数を合計したもの)の比率。

1月の雇用増加ペースは鈍化も労働市場の堅調を確認

1月の非農業部門雇用者数(前月比)は前月から大幅に低下したものの、過去2ヵ月分が合計+10.0万人の大幅な上方修正となった結果、過去3ヵ月の月間平均増加ペースは+23.7万人と24年6~8月期の+8.2万人を底に大幅に増加したほか、23年3月以来の水準となっており、足元で雇用増加ペースが再加速していることが示された。

 

一方、失業率も2ヵ月連続で低下し、24年5月以来の水準となるなど、労働需給が逼迫している状況を示した。

 

労働需給の逼迫を反映して賃金上昇率は加速した。時間当たり賃金(全雇用者ベース)は、前月比+0.5%(前月:+0.3%、市場予想:+0.3%)と23年3月以来の水準に上昇した。前年同月比は+4.0%(前月改定値:+4.1%、市場予想:+3.8%)と+3.9%から上方修正された前月に一致、改定前の水準から低下を見込んだ市場予想を上回った([図表1])。

 

時間当たり賃金の伸び率
[図表1]時間当たり賃金の伸び率 (資料)BLSよりニッセイ基礎研究所作成

 

このようにみると、1月の雇用統計は非農業部門雇用者数の前月比こそ市場予想を下回ったものの、過去2ヵ月分の大幅な上方修正を加味すれば依然として堅調な雇用増加が続いていることを確認したほか、失業率の低下や賃金上昇率の加速など労働市場が引続き堅調であることを確認する結果と言えよう。このため、次回3月のFOMC会合では政策金利を据え置く可能性が大幅に高まった。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2025年2月10日に公開したレポートを転載したものです。

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