(写真はイメージです/PIXTA)

米国労働統計局(BLS)が1月の雇用統計を発表しました。市場予想に反して下回った雇用者数と失業率ですが、その背景にはいったいどのような要因があるのでしょうか。賃金上昇率や業種、労働参加率などの観点から分析してみましょう。本稿では、ニッセイ基礎研究所の窪谷浩氏が、米国の雇用統計について詳しく解説します。

広範なサービス業種で雇用の伸びは鈍化

事業所調査のうち、民間サービス部門は前月比+11.1万人(前月:+27.5万人)と前月から雇用の伸びが大幅に鈍化した([図表2])。

 

非農業部門雇用者数の増減(業者別)
[図表2]非農業部門雇用者数の増減(業者別) (資料)BLSよりニッセイ基礎研究所作成

 

民間サービス部門のなかでは、小売業が前月比+3.4万人(前月:+3.6万人)と概ね前月並みの伸びを維持したほか、医療・社会扶助サービスが+6.6万人(前月:+8.1万人)と前月から伸びは鈍化したものの、堅調な雇用増加を維持した。

 

一方、運輸・倉庫が+0.1万人(前月:+2.2万人)と前月から伸びが鈍化したほか、専門・ビジネスサービスが▲1.1万人(前月:+3.1万人)、娯楽・宿泊業が▲0.3万人(前月:+4.9万人)とマイナスに転じた。

 

財生産部門は前月比横這い(前月:▲0.2万人)と前月からマイナス幅が縮小した。建設業が+0.4万人(前月:+1.3万人)と前月から伸びが鈍化した一方、製造業が+0.3万人(前月:▲1.2万人)と前月からプラスに転じて財生産部門の雇用を押し上げた。

 

政府部門は前月比+3.2万人(前月:+3.4万人)と前月から小幅ながら伸びが鈍化した。内訳をみると、連邦政府が+0.9万人(前月:+0.6万人)と前月から小幅ながら伸びが加速した一方、州・地方政府が+2.3万人(前月:+2.8万人)と前月から伸びが鈍化して政府部門全体を押し下げた。

 

前月(12月)と前々月(11月)の雇用増加数(改定値)は前月が+30.7万人(改定前:+25.6万人)と+5.1万人の大幅な上方修正となったほか、前々月が+26.1万人(改定前:21.2万人)と+4.9万人の大幅な上方修正となった。この結果、2ヵ月合計の修正幅は+10.0万人の大幅な上方修正となった([図表3])。

 

なお、今月は昨年の年次改訂も発表された。雇用者数の水準は24年3月が▲58.9万人の大幅な下方修正となった。これは24年8月に発表された速報ベースの▲81.8万人からはマイナス幅が縮小したものの、09年以来の改定幅となった。この結果、24年の月間平均増加ペースは従前の+18.6万人から+16.6万人に▲2.0万人下方修正された。

 

BLSの公表に先立って2月5日に発表されたADP社の推計は、非農業部門(政府部門除く)の雇用増加数が前月比+18.3万人(前月改定値:+17.6万人、市場予想:+15.0万人)と+12.2万人から大幅上方修正された前月、市場予想を上回った。この結果、ADP社の統計は前月から雇用の伸びが鈍化した雇用統計とは不整合な動きとなった。

 

1月の賃金・労働時間(全雇用者ベース)は、民間平均の時間当たり賃金が35.87ドル(前月:35.70ドル)となり、前月から+17セント増加した。一方、週当たり労働時間は34.1時間(前月:34.2時間)と前月から▲0.1時間減少した。この結果、週当たり賃金は1,223.17ドル(前月:1,220.94ドル)と前月から増加した([図表4])。

 

2024改定の結果
[図表3]2024改定の結果 (資料)BLSよりニッセイ基礎研究所作成

 

民間非農業部門の週当たり賃金伸び率(年率換算、寄与度)
[図表4]民間非農業部門の週当たり賃金伸び率(年率換算、寄与度) (資料)BLSよりニッセイ基礎研究所作成

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2025年2月10日に公開したレポートを転載したものです。

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