(※写真はイメージです/PIXTA)

大人になってからも親と同居を続ける人は、今の日本では決して珍しい存在ではありません。内閣府『令和7年版 高齢社会白書』によると、65歳以上の者のいる世帯のうち20.2%が「親と未婚の子のみの世帯」です。暮らし方の選択肢は多様化していますが、実家暮らしには今なお「自立していない」という目が向けられやすいのも現実です。

実家暮らしで築いた4,500万円…“合理的”なはずの選択

「別に困っているわけじゃない。でも、説明しづらいんです」

 

そう話すのは、祥一さん(仮名・43歳)です。地方の実家で両親と暮らしながら、地元企業で働いてきました。年収は決して突出していないものの、住宅費がかからない生活を長く続けたことで、預貯金は4,500万円ほどに達しています。

 

「お金がないから出られない、という話ではないんです。むしろ逆で、出ようと思えば出られる。でも、そのままここにいる方が自然だったんですよね」

 

大学卒業後、祥一さんはいったん県外で就職しました。ただ、父親の体調不良をきっかけに30代半ばで地元へ戻り、その後は実家から通勤する生活に変わりました。父親は大きな病気をしたものの、今は日常生活を送れています。一方、母親も車の運転に不安を感じ始め、買い物や通院の送迎を祥一さんが担う場面が増えていったといいます。

 

「最初は一時的なつもりでした。でも、戻ってみると、自分がいた方が家のことが回る。そうやって何年もたってしまいました」

 

独身で子どももいない祥一さんにとって、生活は合理的でもありました。総務省統計局『家計調査報告(貯蓄・負債編)2024年(令和6年)平均結果の概要』によると、二人以上の世帯のうち世帯主が40~49歳の世帯の平均貯蓄現在高は1,314万円です。祥一さんの4,500万円という金額は平均を大きく上回っており、家賃負担のない実家暮らしが資産形成に強く寄与していたことは間違いありません。

 

「住宅ローンに追われることもなかったし、飲み歩く方でもない。結果的に貯まった、という感じです」

 

ただ、その暮らしは外から見えにくいものでした。友人が家庭を持ち、持ち家を買い、子どもの話をするようになる中で、自分だけが時間の流れから取り残されているように感じる瞬間もあったそうです。

 

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