消費税が「非課税」となるケース
課税の対象になったとしても、消費に負担を求める税の性格からなじまなかったり、社会政策的な配慮から課税することが適当でなかったりする場合には、非課税取引として消費税をかけないようにしています。非課税取引は消費税法に限定列挙されています。
不動産が絡む取引としては、土地の譲渡および貸付け、住宅の貸付けがあります。土地を譲渡したり、貸し付けたりしても、土地自体が消費するわけではないので、消費税をかけていません。また、生活に欠かせない住宅の貸付けに消費税をかけないようにして、家計への負担を避け、住民の生活を安定させることに配慮しています。住宅の供給を促進させるという政策的な意図もあると思われます。
消費税と土地建物の関係性
なぜ不動産投資家が土地と建物を区分する必要があるのか?
不動産投資では物件購入時に不動産本体の代金と初期費用を払う必要があります。消費税の課税、非課税等を整理すると以下のとおりになります。

このなかでも当然ですが、土地や建物の購入代金の支払いが大きくなります。土地の売買は非課税取引であり、一方で建物の売買は課税取引となります。不動産を一括で譲渡、取得したときにどのように区分するかがたびたび問題になります。
ただ、不動産投資家が行う住宅の貸付けには消費税がかからず、通常、免税事業者になるため消費税の問題は生じません。インボイスの登録をして課税事業者を選択しても、物件購入時に支払った建物の購入代金等の消費税を差し引くことはできません。非課税取引である住宅の貸付けに対応する支払いだからです。
それでも、なぜ土地と建物を区分する必要があるのでしょうか。それは、買主である不動産投資家やその資産管理会社にとっては、建物の減価償却費として所得税や法人税の申告に影響してくるからです。