アパートローンの活用法と選び方
不動産投資は初期費用が高額になることが多く、金融機関からの融資を前提にすることがほとんどです。そこで、ここではアパートローンの適切な活用方法と選び方について解説します。とくに、これから不動産投資を始めようと考えている人にとっては役立つ内容になっていますので、ぜひチェックしてみてください。
そもそもアパートローンとは?
基本情報から振り返ります。アパートローンとは、賃貸経営を目的として、不動産を取得したり不動産を建築したりするために利用する金融機関の融資のことです。アパートローンで審査基準となるのは、主に以下の項目です。当然、これらの情報だけをもとに融資の可否を判断するわけではないことには留意しましょう。
・本人の属性(勤務先や年収など)
・本人に属する金融資産(現預金・有価証券など)、不動産の内容
・取得または建築しようとしている不動産の価値
・賃貸経営の計画または実績
アパートローンでは「家賃収入による返済計画の実現可能性」と「不動産の担保価値」が審査のポイントとなります。これは、「安定した家賃収入が見込め、返済ができなくなることがないか」と「返済できなくなったときに担保不動産を売却して融資を回収できるか」を金融機関がチェックするためです。この2点が融資審査の際の大きな判断基準といえます。
そのため、賃貸経営の計画は実現性の高いものである必要があります。計画がずさんであれば、賃貸経営がうまくいくはずはないからです。自身で周辺の家賃相場を確認するなどして、適切な家賃設定を行いましょう。可能であれば複数の不動産会社に家賃の査定を依頼することや、空室時のリスクを抑えるサブリースを検討するのも一つかもしれません。
アパートローンの選び方
アパートローンは金融機関へ資料を持ち込めば相談できるかもしれません。しかし、下調べなしで資料を持ち込むのはあまりお勧めできません。その理由は以下のようなものです。
・金融機関によってアパートローンに対する力の入れ具合が異なる。
・アパートローンは複雑であるため、借入や賃貸経営などの多くの内容を理解する必要があり、安易な計画では返済継続ができなくなる可能性がある。
アパートローンは個別の案件ごとに、融資条件(融資の内容)が変わってきます。また、融資審査が承認となったことと、賃貸経営が安定して回るかどうかはまた別の話です。
しかし、融資条件については賃貸経営の収支計画に密接に関係することもあり、建築会社や不動産会社と連携をとって進めることが不可欠です。
融資審査については、建築会社や不動産会社から紹介を受けた金融機関に相談を持ち込むことで、話がスムーズに進むケースが多いですが、一社の金融機関で納得のいく融資内容とならなかった場合は、ほかの金融機関に相談するのも一つでしょう。
アパートローンは融資条件に目が行きがちですが、賃貸経営計画とのバランスも欠かせません。そのためにも、しっかりと準備を行い、賃貸経営を行うパートナーとして金融機関を選ぶことが重要です。
「アパートローン」と「プロパーローン」
アパートローンに似た言葉に「プロパーローン(プロパー融資)」という言葉を聞かれたことがある人もいるかもしれません。
一般的にアパートローンは、金融機関単体での融資ではなく、保証人などの代わりとなって融資の保証をしてくれる保証会社を介すことが多く、また金融機関ごとにアパートローンの商品がパッケージ化されているケースも多々あります。
それに対し、プロパーローンと呼ばれるものは、保証会社を介さず金融機関が直接融資を行うものであり、金融機関独自の融資審査が行われます。そのため保証会社に支払う保証料や手数料がかからず、融資を受ける際のコストを抑えられるメリットがあります。しかし、金融機関からすると保証なしでの融資となるため、審査基準も厳しく融資額や融資期間を抑えられてしまう傾向があります。
一方、保証会社を介したアパートローンでは、融資を受ける際のコストが高くなるデメリットはありますが、その分、融資額や融資期間が緩和されることが多いでしょう。
ローンは、種類ごとにそれぞれメリット・デメリットがあり、一長一短です。融資の内容(融資額・金利・融資期間など)や、必要となるコスト(融資手数料など)を総合的に判断し、自身の計画にあった融資を選びましょう。
木造アパートで理想の不動産投資を実現しよう
木造アパートは、初期投資を抑えやすく、高い収益性と入居者の満足度を実現できる魅力的な投資物件です。木造と聞くと防火対策や延焼リスクも気になりますが、近年では耐震性や耐久性も大幅に向上しており、万一の場合に備えて火災保険などを充実させることで、安心して投資できる選択肢といえそうです。
理想の不動産投資とは、高い投資対効果を維持しながら、入居者の満足に応えつづけるものです。ぜひ、木造アパートで理想の不動産投資を実践してみてください。
〈参考〉 国土交通省「建築着工統計調査報告 令和6年10月分」
※https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00600120&tstat=000001016965&cycle=1&year=20240&month=24101210&result_back=1&tclass1val=0
三澤 智史
一級建築士
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