20年前に亡くなった資産家だった祖父の財産5億円を相続した祖母が90歳で亡くなりました。代襲相続人となった35歳の孫が祖母の資産を調べてびっくりしたワケは?相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が解説します。
祖母が亡くなり、叔母と孫2人が相続人に
祖母が亡くなり、相続税の申告が必要になったので相談をしたいという35歳の壱成さん。相続人は、祖母と同居していた叔母、壱成さんと壱成さんの弟の3人です。
本来の相続人である壱成さんの母親(祖母の長女)が祖母よりも先に亡くなっているため、壱成さんと弟は母親の代襲相続人となります。よって30代ながら、当事者として祖母の相続と関わらないといけない立場なのです。
ちなみに20年前の祖父の相続のときは?
祖父は20年前に亡くなっており、そのときは祖母、長女(母親)、次女(叔母)の3人で相続しています。大正生まれの祖父は大学を出て、生命保険会社に就職、海外や日本を転勤しながら勤め上げ、役員にもなってリタイヤしています。
日本も成長期の時代で、株や保険を持ち続けて祖父自身が築いた財産の他、その親からも金融資産を相続したようで、結果的には金融資産で9億5000万円。不動産は自宅のみで5000万円。合わせて10億円もの財産を祖父は残したのでした。不動産は自宅のみで約5%、他の95%は預金、株、保険などの金融資産になります。
祖父から5億円相続したはずの祖母の財産は…
壱成さんは20年前の祖父の相続税の申告書を持参されていましたので、確認すると、祖母5億円、叔母と母親が2.5億円ずつの、法定割合で相続をしていました。
相続税は2億円。祖母には配偶者の税額軽減の特例があり、納税は不要です。2人の子どもは相続した金融資産から納税できる内容です。
総じて、祖母が相続した5億円の財産から相続税を払うことはないため、その金額そのままが祖母の財産として残っていることがわかります。ところが、壱成さんいわく、祖母の財産は2億5000万円程度で、想定よりもかなり少ないというのです。
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
京都府立大学女子短期大学卒。PHP研究所勤務後、1987年に不動産コンサルティング会社を創業。土地活用提案、賃貸管理業務を行う中で相続対策事業を開始。2001年に相続対策の専門会社として夢相続を分社。相続実務士の創始者として1万4400件の相続相談に対処。弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士など相続に関わる専門家と提携し、感情面、経済面、収益面に配慮した「オーダーメード相続」を提案、サポートしている。
著書65冊累計58万部、TV・ラジオ出演127回、新聞・雑誌掲載810回、セミナー登壇578回を数える。著書に、『図解でわかる 相続発生後でも間に合う完全節税マニュアル 改訂新版』(幻冬舎メディアコンサルティング)、『図解90分でわかる!相続実務士が解決!財産を減らさない相続対策』(クロスメディア・パブリッシング)、『図解 身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本 2021年版 (別冊ESSE) 』(扶桑社)など多数。
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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