祖母は公正証書に遺言を残していた
祖母は90歳で亡くなりましたが、10年前に公正証書遺言を作成していたことも叔母から聞かされました。叔母から渡された公正証書遺言は、祖母の預金口座のあるМ銀行が遺言執行者として作成されていました。
生前には聞いていなかったので壱成さんと弟は複雑な気持ちでしたが、さらにその内容には愕然(がくぜん)としたといいます。「財産の配分は叔母が4分の3、壱成さんと弟はそれぞれ8分の1」とされていたのです。
同居してきた叔母には感謝しているものの、このような差があるとは釈然としないため、叔母と話をして、祖父のときと同様に法定割合で分割しようという合意を得ることができたといいます。壱成さんは一瞬、叔母が祖母の財産を使ってしまったのでは? と疑ってしまったそうです。
そうしたタイミングで当社に相談に来られましたので、全員の合意も得られて、夢相続で、相続税の申告のコーディネートを引き受けることになりました。相続に強い税理士を選定し、情報共有しながら分割や申告など進めていきます。
遺言を執行しない場合はこれから遺産分割協議
公正証書遺言は優先されるものの、相続人全員の合意があれば、遺産分割協議をして遺言書とは違う分け方を決めることができます。
これから遺産分割協議をするにしても、ポイントになるのは金融資産の2億円がどのような減り方をしたかということです。これから預金口座の通帳や明細を用意してもらい、確認するようにします。相続税の申告を控えている場合は、主に税理士がその確認作業をしますが、夢相続では財産の分割案をご提案する役割ですので、税理士と情報共有しながら進めていくようにします。
財産の持ち戻しがあれば、相続税も増えますが、疑心暗鬼の要素を残さないためにも確認しておく必要があります。
※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。
曽根 惠子
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp)認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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