(※写真はイメージです/PIXTA)

※本稿は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社による寄稿です。2024年11月のマーケットを振り返り、「1. 概観、2. 景気動向、3. 金融政策、4. 債券、5. 企業業績と株式、6. 為替、7. リート、8. まとめ」のそれぞれについて解説します。

3.金融政策

<現状>

●米連邦準備制度理事会(FRB)は、11月に政策金利(フェデラルファンド〔FF〕金利)の誘導目標を0.25%引き下げ、4.50~4.75%としました。過度な雇用不安が後退し物価上昇率も下げ渋っていますが、政策金利の水準が高いため利下げを行った模様です。

 

●ECBは10月の理事会で、政策金利を0.25%引き下げることを決めました。11月には理事会がありませんでしたが、物価上昇率が低下していることから、次回の理事会での利下げのハードルはかなり下がっているとみられます。

 

●日銀は10月の金融政策決定会合で、政策金利(無担保コール翌日物金利)を0.25%で据え置くことを決めました。日銀は現在の金利水準が非常に低いと見ているようです。

 

<見通し>

●FRBは、パウエル議長は利下げを急ぐ理由は特にないとしていますが、政策金利水準はなお制約的としています。今後出てくるデータ次第ですが、FF金利を中立水準付近まで下げるために、12月も0.25%の利下げが行われると予想します。

 

●ECBは、欧州経済が低成長を続けていることやトランプ政権の政策がユーロ圏経済に抑制的に働くと見られることから、12月の会合で0.25%の利下げを実施すると予想します。その後も賃金、インフレのデータを確認しながら、0.25%の利下げを続けると想定しています。

 

●日銀は、景気が力強さを欠いているため12月は政策金利を据え置く見込みです。展望レポートで経済・物価動向を総合的に点検したあとに、金融政策の正常化に向けて追加利上げを実施するとみています。政策金利は、25年1月に0.50%、25年7月に0.75%への引き上げを想定しています。

 

各国・地域の政策金利の推移

4.債券

<現状>

●米国の10年国債利回り(長期金利)は、トランプ氏の当選直後にインフレ圧力の高まりなどが意識され、大幅に上昇しました。FRBによる政策金利引き下げ後は、上昇圧力が弱まりました。その後、次期財務長官にベッセント氏が指名されたことが安心材料となった格好で、長期金利は低下しました。

 

●ドイツの長期金利は、ECBが10月の理事会で0.25%の追加利下げを決めたものの、米長期金利に引きずられた格好で一時上昇しました。ドイツでの財務相解任も変動要因となりました。しかし、景況感の悪化と米長期金利の下落を受け月後半は低下基調で、前月比でも低下して終了しました。

 

●日本の長期金利は、米長期金利の上昇などを受けて上昇しました。衆議院選挙後は、財政拡張への警戒感が大きくなりました。

 

●米国の投資適格社債については、新政権発足後の米国景気への期待が高まり、社債スプレッド(国債と社債の利回り差)は前月比で縮小しました。

 

<見通し>

●米国の長期金利は、FRBによる利下げをある程度織り込んでいるとみられるため、当面もみ合う動きを想定しています。しかし、新政権は関税の引き上げなど経済政策に対し、物価上昇を加速させないような配慮が行われる見込みで、追加利下げとともに長期金利も低下すると予想します。

 

●欧州の長期金利は、景況感の悪化を背景にECBが追加利下げを継続すると想定していることから、緩やかに低下する展開を予想します。

 

●日本の長期金利は、日銀が金融政策の正常化路線を維持していることから、追加利上げが警戒され、やや上昇すると予想します。

 

主要国の10年国債利回りの推移

 

米国投資適格社債の利回り、スプレッドの推移

 

次ページ5.企業業績と株式

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